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済嘉 光政



抜粋書籍:現代ヤクザのシノギ方
著者:夏原 武氏
発行元:宝島社
発刊:200X年9月

この書籍は私がヤクザ社会入り前に参考とした物の一つだ。
そして家紋外しとして現在に至った今、私の実感も兼ねて検証する。
又、内容が一部デッチ上げの可能性も捨て切れないが、その点も断っておく。
何れにしてもそれ成りに実像に近い物を抜粋した。
因みに私に取って一番参考に成ったのは、
ハッキングや“株付けの手口”が記述された書籍だろう。
だが、やはり経験に勝る教訓など何一つ無かったと云うのが私の実感だ。





取材者:夏原 武 

ヤクザは金でされた!!

元関東広域組織幹部:バブルは酷かった。
チンピラが億単位の金を持ち、誰も彼もが頭の中は金儲けだけ。
そりゃ、金の嫌いな人間はいないからそうなってしまうのも、ある程度は仕方がない。
だがな、あんなに簡単に億単位の金が動いちゃいけない。
誰だって狂っちまう。
全てはバブルの頃から変わって来た。
たくさん金を持ってくる若衆がいい若衆となったんだ。
親父(親分)も同じだった。
何かと金を届けて、愛想の一つも言える若衆の方が親父は可愛くなったんだよ。
「親父、金のロレックスです」と渡されると「あいつ、わかってるんだな」
と親父は喜んでたんだから情けない。
ヤクザが金を必要とするのは、食う為だけじゃない。
組織間の抗争ともなれば、シノギ(仕事、抜け)が無くなる。
大きく金が入ればその内の何割かは、
いざという時(抗争、同業からの借り入れ利息分など)に取っておかなきゃならない。
だがな、ああやってアブク銭がドカンと入るとダメなんだ。
その金で更に儲けようとしてしまう。
金儲けの為に金儲けをする様になっちまうんだ。

金

元関東広域組織幹部:だから言うんだよ、そんならカタギになればいいじゃないかってな。
ヤクザである理由も必要性も全くない。
どんな組織でも代替わりが起きるじゃないか?
トップが引退する、その下には数人の跡目候補がいるよな。
誰が、選ばれるかは大きな問題だよ。
小さな組では若頭(次首領)が跡目を継いで終わりかもしれない。
大きくなれば若頭補佐にだって継承権は出て来る。
しかし、そこで選ばれる理由が“金”だったらどうなる?
金を持ってるかどうか?金儲けが上手いかどうかで決められたら、
どうなると思う?かなわんよ。
そんな人間を親として担げるか!!
あいつを親と担ぐくらいなら、俺はカタギになるよってな。

斉嘉 東政:名誉有る侠の穢れが滲み出ている。
私はこの様な侠こそ本物のヤクザだと想える。
良い意味でも悪い意味でもだ。
だが、今のヤクザ社会は“武装”総合企業と言える組織体質に移行しつつ有るだろう。
ヤクザ社会の企業化は今に始まった事では無いが、
今度は企業その物に成ろうとする風潮が有るのだ。
旧態依然の放任的な組織体質では何れ市民社会と連動出来なく成る。
確実的な仕事を堅持する為なら依り企業的な組織体質が要求される。
内の一門など正にその典型だ。
先の様な侠がヤクザ社会から去って行くのも必然的な時代が来ているのだ。
内の一門でも人望や抗争戦勲よりも資金力の有る人材が要求される。
だが、“お布施”で役職を買っても貫目が無くては、
理事長や理事長補佐らにハメられて破門食らうのがオチだろう。
投資や先物でデカ穴開ければその時点で破門食らう。
だが、内の一門は古くからの証券業界進出、そして先生方とのコネも有ってか、
デカい“仕事”が打てる仕度が初めから出来ている。
政財界の経済方針に乗った仕事では、
抜けが少なく成ったと云う実感も特に無い。
地方向けの観光会社が中国人観光客を欲しがるなら、
現地の奴等に手配させる。
代理店から“も”それ成りに抜ける。
原油相場下落が日本経済に影響を与えるなら、
現地の下落すると一時的に上昇する、
保険的な投機銘柄を国内の仲卸や貯蔵屋に売り抜く。
銘柄は様々な取引にも使える。
又、昨今の関東ヤクザ社会に於ける特筆点では、
末端の看板、代紋持ちが執行部の役目を果たしつつ、
仕事を打つ者には敢えて盃を分けない末端が一部で増加している。
元証券屋や動産屋など、飼ってるコネに独自に仕事を打たせ、
カスリを取る所なら昔から有るが、依り組織化された、
一体化させた“仕事部隊”と言えば解かり易いだろう。
そしてその仕事部隊に桜田(警視庁)のマル対、
捜査対象の矛先を向けさせるのだ。

桜田
警視庁、桜田門一家本家

私も実質、仕事部隊を任されている立場だ。
刑法でも私を含めた数人が準構成員、暴力団関係者に認定されている。
他の面々もヤメ検、元税理士、司法書士、IT屋など様々だ。
今は仕事の絵図も全て私が立てる。
仕事も出来る限りの合法的手段で打つ。
だが、実際に仕事で動くのは2、3人の専門職種を持つ者だけだ。
他は連絡役や手配役、そして桜田への“挨拶役”と云う場合が殆どだろう。
仕事の絵図も事前に司法書士に検証して頂いている。
その絵図も耽っている内に一つや二つは閃く物だ。
昔から悪知恵だけは長けていたのだろう。
次は先の侠も見たで有ろう、バブル期に生きた経済ヤクザの片鱗に触れる。





取材者:夏原 武 

借金で「絶縁」・「破門」にされる組長
手口:金融、抵当ハガシ

夏原 武:今から十五年前の1987年、ひとりの男がヤクザになった。
この年は日本人全体にとっても忘れられない出来事が頻発していた。
戦後の日本を支配し続けてきた自由民主党総裁の座に、
「数こそ力なり」を実践し続けてきた田中派の総領・竹下 登が就任した。
竹下は田中 角栄を裏切って天下を取ったのだが、
その手法は田中となんら変わるところはなかった。
そして、バブル経済はその頂点へとまっしぐらに向かっていた。
そんな年にヤクザになったのが、
すでに二十代も半ばになろうとしていた池田次郎氏(著者補足、仮名)だった。
(憶測上、割愛)
(ヤクザに成る前の)池田氏は、新宿で個人的に金を貸すようになる。
池田氏の名前は、風俗嬢の間で知られるようになっていった。
彼女たちの間で「ちょっとした借金をするなら池田さん」となってしまったのだ。
池田氏の存在は、すぐに地元(風俗嬢が働く島の)ヤクザの知るところとなった。

池田 次郎:さらわれたんだよ。
みっちりと脅されてね。
もっとも相手は、俺から金を取ろうとか、
二度とこんなこと(島荒らし)はするなとケジメをつけるとか、
そんなつもりじゃなかった。
抱き込みたかったみたいなんだ、俺を。
大卒で、不動産の世界も経験していて金融にも詳しい。
使えるんじゃないか、と踏んだわけだ。
迷うことは許されなかった。

超歌舞伎
新宿歌舞伎町

一緒にやるか?ケジメをつけるか?という話だからね。
俺はそういう世界への憧れというのは特になかった。
普通の人間だし、どちらかというとナンパだしね。
ただ、サラ金に飽きていたのは事実だったし、
相手も「会社」を持っていると盛んに言っていたしね。

夏原 武:相手とは●●では一番の力を持つともいわれる、
関東広域組織の二次団体の人間だった。
(彼を誘ったのは)経済ヤクザといった方が通りがいい人物だというから、
話も上手かったのだろう。
池田氏は、さっそく次の日から新しい「会社」へと通った。
会社は、見た目は普通で、南●●の駅から
それほど遠くないマンションの一室にあった。
女性事務員もいるし、ヤクザの組事務所のように、
室内に提灯が掲げられているわけでもない。
彼は最初に金融部門を任されることになった。

池田 次郎:やっていることはサラ金と同じだったが、
動いている(貸し付け、利子取り、返済)金が少し大きかったし、
サラ金のように善人ヅラしなくてもいいのが楽だった。
俺を誘ったのは、その組織では幹部といわれる立場の人間だったが、
すぐに(俺は)独立したよ。
金がモノを言ったんだろうね。
俺も感謝された。
いずれはお前も一本立ちだ(組持ち)、とか言われてね。
ヤクザ社会では異例の出世になるんだとも言われたが、
そもそも自分がヤクザになったという認識すら、
ロクになかったんだから、うれしくもない。
月に一回は組事務所に行っていたんだが、
そこでは俺よりもはるかにヤクザ然とした連中がいて、
そいつらに挨拶され、兄貴として扱われるのは、気分よかったな、たしかに。
(金ヅルとしてハメる場合の常套芝居)

夏原 武:不動産と金融とで月十億を超す収益を上げるようになった池田氏は、
自分自身も月収が数千万という御伽話の世界へと入っていく。
そしてヤクザになって五年が経った1992年、池田氏は一家持ちとなった。

池田 次郎:自覚は相変わらずなかったな。
若い者もいたが、みんな俺みたいな奴で、
荒事は苦手で金勘定が得意という人間ばかりだった。
義理(組織間冠婚葬祭)なんか行くと、
どこのカタギが混じってるんだって目で見られたよ。
だけど、包んでいく金額が一番なんだから、笑うよな。
上も、納める金がデカいから俺たち(の資金力)を大事にして、
荒事は任せておけ、なんて言ってたよ。
そういうことに関わらないで、金を儲けろという意味だったんだろう。
儲けさせてやったさ、皆にな(儲けにされた)。
不動産なんてのは、一人で扱うには限度があるから、
いい情報(担保物件、抵当権情報等)は回してやるんだ。
その方が安全だし、儲けも安定する。
独り占めしようなんて考えたら、潰れるし(上の奴に)潰される。

夏原 武:金は笑うほどあったという。
月収数千万というのがどういう世界なのか、
筆者にはわからないが、池田氏は「どうということもない」と笑う。

斉嘉 東政:所でネット上で三次だか四次だか知らないが、
組長の年収が4000万前後と云う説が一人歩きしている。
「ヤクザ1000人に聞いた」と豪語する文屋、
鈴木 智彦氏の“自説”が発端に成っている様だが、
私が知る限りでは、東京で経済に太く食い込む関東系三次組長が
抜け換算で年平均60億前後、個人では上部一門の体質に依って20億から50億前後、
覚醒剤の密輸売買やカスリ、公共事業など昔ながらの仕事を打つ
同三次組長が同様に年平均7億前後、個人も同様に3億から5億前後だろう。
身近な所では年に二度の動産整理をキメて、
その年の抜けが250億を超えた先輩(引退)もいる。
実際、都心一等地の再開発など国の事業で整理をキメれば、
退かせ代を引いても一本50億は確実に抜ける。
だが基本、上部には年6000万程度しか抜けなかった様に振舞う。
そうしないと上部が旧来の上納制で通す場合、
「何だ、証券か!ワシに任せとけ!」で、
デカい抜けの出る仕事を持ってかれる事が多いからだ。
因みに私が直接見た最高額の現ブツは180万、
残り20万は黙秘権行使。
池田氏の取材に戻る。

池田 次郎:出ていく金もでかいんだから。
月給三十万で、出ていく金が二十万だとする。
それと同じだ。
三千万入っても二千万は黙って出ていくんだよ(納め、義理、介入代等)。
そういうもんなんだ。
残ったのが一千万ならでかいと思うかもしれないが、
それだけ毎月入るとわかって、貯金するか?しないだろ。
(私は金庫“にも”入れる)
同じことだよ。
みんな使ってしまうんだ。
家賃が二百万もするマンションに住んで、
しょっちゅう車買い換えて、女にも高級マンションを借りてやる。
一千万なんか、屁みたいなもんだ。

斉嘉 東政:それでも大切な仕度代だ。
一銭も無駄には出来ない。

夏原 武:警察からでさえ、あまり警戒されなかったという。
暴力沙汰とはまったく無縁、縄張りを持っていなければ、持つ気もない。
だから、素人衆からは(利用し易い点で)憎まれない。
不動産業が大きくなってからは、金融の利率も下がって、
サラ金と変わらなくなり、企業に貸す金の金利も法定内に収まっていた。

池田 次郎:企業舎弟みたいだって?
まあ、そうかもしれないが、でも歴としたヤクザだからな、こっちは。
義理事にも行くし、トラブルがあれば、やはり顔を出さなくちゃいけない。
ただ、普通の連中がゲンコツで勝負するところ、
こっちは札束で勝負するっていうくらいの違いでしかないよ。
警察から見れば、まあ、睨み付けなくてもいいが、
何かでミスをすればヤクザなんだから引っ張ってしまえ、そういう対象だ。

斉嘉 東政:金や切手だけでケリ付けると、
モメ事作られて金庫にされるだろう。
“西のお客さん”のお得意技だ。
派閥にも依るが、一番良いのは“仲良く”する事だろう。

池田 次郎:旧大蔵省が土地関連融資の総量(限度額)規制に乗り出し、
不動産バブルもどん詰まりを迎えようとしていた頃、
池田氏は渋谷で地上げに関わっていた。
まとめ上げれば(土地買収・転売交渉成立等で)これまで見たこともない、
百億円単位の利益になるほどの話だった。
ところが、それが見事に失敗、中途半端な土地と
それこそ、これまでに見たこともない十億円単位の借金が残った。
(立場に沿わないデカ話はハメ事で有る場合が多い)
そうなると、ヤクザであることが(穴埋めが難しくなって)枷になる。
銀行に対する返済が滞っただけで(借入れ元を間違えて)、
池田氏は詐欺罪で逮捕されてしまったのだ。
通常の企業取引なら適用されない罪状なのだろうが、
なにしろ、池田氏は立派な経済ヤクザなのだから(桜田に)容赦はない。
警察は「何かでミス」するのを待っていたのだから。

池田 次郎:俺が逮捕されると、仕事の流れがすべて止まってしまったんだ。
あちこちで動かしていた金(の取り立て、繰り越し代等)もみんなね。
若い奴らにいくら言ったって、俺と同じようにはできないし、
逆に警察に狙われるのが関の山だろう。
兄貴分や本家に泣きついた(助けを乞う)って、まったくダメだった。
そりゃそうだ、俺はヤクザとして期待されていた人間じゃなかったんだから。
集金マシンとしてだけ期待されていた訳だからな。
そいつが金を稼げなくなれば、ただのごく潰しにしか過ぎない。
あっという間に破門だよ。
拘置所で破門状を見せられて愕然とした。
なんで破門なんだって。

斉嘉 光政:だが、整理をキメられる様な経済知識の持ち主なら、
東京での即戦力を求める三代目弘道会傘下や
良知組傘下などの六代目山口組東京勢が翌日には拾うだろう。
抜けのデカい逸材は、奪い合いに成るのが常だ。
昔はそれが元で、抗争に成る事も珍しくなかったのだ。

池田 次郎:詐欺罪といったって、まず起訴されることはないし、
そりゃ借金はすごいが、そんなものは会社ならどこだってそうじゃないか。
俺の借金を本家に請求に行く馬鹿なんかいるはずもない(西のお客さんが行く事も有る)。
要は上の保身ということだったんだ。
あいつらの取り引きや、これまでやって来たことを知っているだろう?
それを心配したんじゃないか、検察と(司法取り引き)。
それに破門にしてしまえば、俺が何をしようと、
組織としては関係ないで通る(昔の常套手段)。
破門になれば、もうそこ(著者補足、新宿)にいることもできなくなる、そういうことだ。
破門されて、すべてなくなった。
女たちだって、家賃を払ってもくれない俺には用がないわけだし、
若い者にしたって、ついてくるはずもない。
五年で上り詰めて、あっという間に終わり。
まあ、ヤクザをやっていたという感覚は今でもあまりないんだ。
だから、あの(ヤクザ)業界の慣習みたいなものも、
実はよく知らないんだ、正直いうと。
毎日金のことばかり考えていたからね。

斉嘉 東政:結局、お互い金ヅルでしか無かったと云う事だ。
金に目眩んで自分の立場を計り損ねた一例とも言える。
内の一門でも、元ホスト連中が一家名乗りした事が有ったが、
先物を“西のお客さん”に食われて二、三ヶ月で潰されている。
因みに私がヤクザ社会入りした理由も“金”の為だ。
“男道を精進する”とかそんな女々しい理由では無い。
1998年冬に、義父が他界していたと云う経緯も有った。
義父は若い頃、伯父と共に初代稲川会某名門一門傘下で
若衆修行を積んだ過去が有ったと云う。

稲
稲川会、稲穂の代紋

後述で別の側面からも触れるが、
義父の元には群馬県内に本部を構える稲川会某一門傘下の
看板持ちのヤクザや元ヤクザが良く遊びに来ていた。
義父はそんな元ヤクザ達の職業斡旋も看ていたのだ。
そして私は業界入りする数年前に極めて重大な経験もしている。
それ以来、私は殆どフヌケけに成っていた。
そんな状態から抜け出す為、
義父の残像を追い掛けてヤクザ社会入りしたと言えば“嘘”に成る。
当時、私は有る理由で是が非でも3000万程度の金が必要だった。
それは自他共に生存を懸ける程の切迫性も有ったのだ。
そして叔父より若い頃から面識の有った、
新宿歌舞伎町の某会某一門傘下を紹介されたのだ。
その際のやり取りも良く憶えている。
引退した代行が半眼で微妙に目を逸らしつつ、
さり気無く私の“心”に聞いて来たのだ。

代行:大体は聞いたが、内に来た理由は?

私:金です!

幹事(現会長):良く言った!

代行:(私の目を直視して)分かった、やれるとこまでやってみろ。

冒頭の侠の様な旧来ヤクザに“金です!”なんて抜かせば、
直ぐに首筋へ日本刀を突き付けられただろう。
そして「アンちゃんな、ヤクザ舐めとったら終わるで、、」だ。
だが、代行や今の会長(偽職)は相手の言葉と所作から、
その眞意を探る術が長けていた。
私の真摯な気概を悟って頂けたのだろう。
当時の私は肩に掛かる程の髪を後ろで結わいていたが、
そんな人間でも事務所に入れる程の柔軟さも有った。
特に印象的だったのは代行や後に会長と成る幹事から、
何か不思議と懐かしい雰囲気を感じた事だ。
そして私の目的額など僅か八ヶ月程度で達成させて頂いたのだ。
だが一度、会はあの“下手打ち野郎”の所為で上部ごと解散に追い込まれている。
解散してからの二週間は殆ど寝込む程の喪失感が有った。
だが、数ヶ月後に会長が再び一家名乗りしたのだ。
そして私も誘ってくれた。
そんな理由も有って私も現在に至っている。
あの嬉しさだけはねまで忘れやしない。
今は某国関連の仕事や、某機構との付き合いで
誰に狙われてるか解からない。
“信義に尽くし、恩義に殉ず”と云う意味も解かった積もりだ。
だが、義理で恩を返す積りなど微塵も無い。
義理は文字通り、義の理屈でしか無い。
心の有るが儘に、具体的行動を以って最後まで恩を返すと云う事だ。





取材者:夏原 武    

極道とカタギの“グレーゾーン”に暗躍する人々、
フロント企業ほどおいしい“シノギ”は無い。
手口:債務車転売、証書偽造

夏原 武:北関東でフロント企業(組織関連企業)として活動している、
柏原 義正氏(仮名)は、笑いながら話を始めた。
(略)
東京に頻繁に出かける氏は、フロント企業の典型的な構成員である。
携帯電話には関東有数の広域組織の代紋を象った象牙のストラップがぶらさがっている。
それだけが唯一、氏とヤクザとの関係をうかがわせる。

柏原 義正:地元の警察は相当頭にきてるね。
お前だけはどうにもならん、と良く言われるよ。
(今は容疑がデカければ関係者でも持ってかれる)
俺はもともと東京にいたんだ。
東京で稼業(看板持ち)やってたからね。
関わっていた組織は今の会社のバック(ケツ持ち、背後組織)と同じ所だよ。
そこで、いろいろ教わって、一人前になった。
もう代紋は背負っていないんだけど(元組員)、もしまた背負うとすれば、
そっちに戻るというか、その世話になった人のもとで、という事になるのかな。
代紋を背負わないか?という話は、ずいぶんとあったよ。
断ったというか、今でも逃げてるんだけどな。
(略)
今やってる仕事は、いくつぐらい有るかな。
まず、正業(合法業)っていう事なら飲食業が有るな。
女房にやらしてるんだけどね。
スナックだから、まあ正業だよ。
それ以外には、中古車販売にリサーチ(調査)会社、金融あたりかな。
もっとも、不動産だってなんだって、儲かる事には首突っ込むよ。
“トラブル・イズ・マイ・ビジネス”だからね(ヤクザの基本的な仕事)。
扱ってる中古車は、金融流れ(ローン未決済車)系のやつね。
まっとうに店頭に並べる中古車はオークションなんかで引っ張って来てるけど、
そうじゃないのはどうしても金融物になるよね。
名義変更できない車?もちろん、そうだよ。
だけど乗る分にはそんな事、関係ないだろ?
値段はそうだなあ、ベンツ(車両債務抜きで)で二百(万)ぐらい、
クラウンあたりなら八十(万)ってとこじゃないかな。
バカ安?そりゃそうだが、だから金融物だって事、
しっかりと解かってる人間じゃないと困るんだよ。
だいたいローンがくっついてる訳だから、
ガンと言い返せる人間(ヤクザ、組織関係者)じゃないとね。

斉嘉 光政:相手のヤクザに力が有る場合、未決と伝えなければ、
「未決じゃねぇか!話が違うだろう!」と、
逆に因縁付けられて会社を食われる事も有るだろう。

柏原 義正:もちろん、(債務・担保)書類はちゃんと用意してあるから法的には大丈夫。
車検?あれは関係ないんだよ。
よく車検が切れるまでしか乗れないなんて言うけど、そんな事は無い。
税金は誰が払ったって構わないんだから(今はヤバい)。
車なんてのは、税金さえちゃんと払っておけば、大丈夫って事だよ(看板持ちなら微妙)。

夏原 武:簡単に説明しておくと、
まずローン支払い中の車を担保にカネを貸す金融業者がいる。
債務者は車に乗ったまま借りるのではなく、(金融)業者に預ける形が多い。
もちろん、支払(返済)が出来なくなれば車は取り上げられてしまう(差し押さえ)。
その段階で、車検証の所有者はまだローン会社名義で、
カネを借りた人間は使用者に成っている。
通常の売買は、もちろん出来ない。
しかし、ヤクザ関係者などは、それを承知でこういう車を購入する。
もし、ローン会社が借金の返済に迫って来ても、使用者にカネを貸していて、
そのカタに預かっていると言えばそれまでの事。
(今は金融会社が告発すれば、稀に中止命令が掛かる事も有る)
しかも、金を貸した段階で、白紙委任状ほかの書類は、
すべて確保されているから問題ない(今は微妙)。
もし車検を通してでも乗りたければ、
自動車税を支払うだけのことだ(今は手続きに“ひとクセ”有るらしい)。
自動車税の通知はもちろん使用者のところに届くが、それは転送する約束になっている。
ちなみに漫画などで、こうした車は車検が切れて
乗れないかのように描かれているが、それは間違いだ(手続きを間違えるとヤバい)。

斉嘉 東政:少し古い時代の話だが、90年代前半頃に流行った仕事だろう。
他にも事故を起こして全損扱いと成った高級車を手配する。
前面が激しく損傷した物と後部が激しく損傷した全損扱いの同型車を入手する。
そして組織関連の修理工場にて両車の損傷している前部と後部を切断して貰う。
後は損傷していない両車の前部と後部を接合させる。
そして90年代に流行った二個一車が誕生するのだ。
又、取材者が関係者で居た方が得と謳っているが、
私は会長以下の看板持ちに捜査対象の矛先を向けさせない為の関係者だ。
私の仕事に看板持ちは一切関与していない。
捜査対象も自ずと私に向けられる筈だ。
仕事の絵図も私が立てるのだから、
その首謀者も私に他成らない。
だが一応、桜田に“挨拶”はしている。
裏切れば奴等の首も飛ぶだろう。
実際に桜田から内偵食らった事など一度も無い。
看板持ちの話も他所の一門傘下から二度来ている。
だが、私が看板持ちに成るのは会長の元以外に有り得ない。
他所ならあの“下手打ち野郎”の舎弟でも御断りだ。
又、仕事部隊の中には元他所看板の人も居る。
地域に依る侠道上の作法の違い、延いては義理の作法も指南して頂いた。
既に会長や理事長補佐(偽職)と共に何度か義理にも出ている。
●●会●代目●●一家●●初代、●●●総長“八十七回忌”法要式典とかだ。
掛け合いも私と元他所看板の人で片付けて来た。
相手が関係者では不服なら、一門傘下の信用出来る奴に回す事に成る。
だが、信用出来る奴は本当に僅かだ。
看板は重荷だからと逃げ回っている積りなど微塵も無い。
柏原 義正の取材に戻す。

夏原 武:柏原氏はパソコンにも堪能だ。
近年、ヤクザ業界でもパソコンは重要アイテムになって来ているが、
氏の年代で詳しい人物は珍しい。
パソコンの習熟は、やはり仕事から始まったと云う。

柏原 義正:パソコンは、便利でいいね。
ネットは遊びで、商売にはなってないけれど。
パソコンの何が楽しいって、やっぱり偽造だろ。
いや、偽造して何か売ってるとかそういう事じゃないよ。
もともと、偽造は好きなんだよな。
そっくりに作ってみるのが。
今はプリンターの性能もいいから、
免許証だってなんだって、さっくりとできちゃうからね。
免許証はやり方さえ工夫すれば、ほぼ完璧なものができるんだよ。
ポイントとしては、台紙が大切なんだよ。
写真のある表なんて重要じゃないんだ。
裏側があるだろ?点線が入ってる。
あそこが大事なんだ。
あれは偽造できないんだよ。
偽造しても手触りでわかってしまう。
その台氏さえ利用できれば、あとは簡単なんだよ。
剥がすのが難しいんだが、これもやり方があるんだ。

夏原 武:柏原氏はパソコンで書類も作る。
その書類は、一部改変される事もある。

柏原 武:どこをどうとは、言わないし言えないが、
素人じゃ、まずわからない。
重要な書類でも本物そっくりに作れるんだから、すばらしいよな、パソコンは。
契約書だって何だってそうだ。

斉嘉 東政:私がパソコンを購入して、
一番最初に憶えようとしたのは“ハッキング”だ。
有る意味で私がヤクザ社会入りしてからの約1年半は、
“サイバーヤクザ”とも言える活動だった。
基本的にはソフト頼みだったが、
その腕が買われて今に至っている様な物だ。
今でも定期的に桜田と情報交換はしている。
捜査協力で“挨拶”もする。
証拠も握った上で保険も掛けて有る。
“記憶に御座いません”とは言わせない。
又、仕事部隊への連絡もパソコンを使用する場合が殆どだ。
だが、唯のパソコンでは無い。
詳事は話せないが、所持していても事実上合法のデスク・パソコンだ。
金庫の管理、株付けとその動向、その使い道も様々だ。
時間が有る時は音楽を聴いたり、動画を見たりもする。
過去に私はバンドもやっていた人間だ。
稀に“洗い事”で一日中デスク・パソコンと睨めっ子の日も有る。
某機構に“挨拶”するのは最後の手段だ。
会の事務所にも数台のデスク・パソコンが置いて有るのだ。
状況に依ってはパソコンで連絡を付けた方が良い時も有る。
当時は事務所への挨拶も稀だった。
新宿へ出向く際も、殆どがバンドマン風の普段着だ。
後に桜田へバレてしまったが、
当時は会と無関係を装った方が都合が良い理由も有ったのだ。
今は“ユニクロ”やサルトの“仕立て”などそれ成りの物を着て、掛ける物も掛けている。
私の年代では平均的なクラスだが当然、髪も流している。
だが、基本的には相手に合わせて服装や髪型も変える。
経済ヤクザ風、若手実業家風、リーマン風など様々だ。
スーツは着熟し次第で品位はおろか、身分まで違って見せられる。
車もレンタカーだが、センチュリーやレクサスLS、エルグランド2500など、
此方も相手や状況に依って使い分ける。
若いモン連れて“ハイキング”に行くなら、エルグランドが一番だ。
近隣に他所看板の賃貸業者が有り、
恰も自車の様な、状況に合わせた使用感を施してくれる。
当然、盗聴対策の為にケースの中には某国製の携帯カウンターが入っている。
因みに私の愛車は70万で一括購入したトヨタの軽だ。
やはりあれが乗ってて一番落ち着く。
私も庶民気質なのだろう。
だが、今は“押さえさせて貰った”クラウンで移動する事が多い。
適度に改造が施され、マジェスタ以上の高級感も有る。
柏原 義正の取材に戻す。

夏原 武:柏原氏はパソコンで書類も作る。
その書類は、一部改変されることもある。

柏原 義正:どこをどうとは言わないし言えないが、
素人じゃ、まずわからない。
重要な書類でも本物そっくりに作れるんだから、
すばらしいよな、パソコンは。
契約書だって何だってそうだ。
(今は偽造鑑定が進歩しているからヤバい)
よかったときは年間一億数千万は軽かったな。
今?今はそんなにないよ。
数千万?まあ、そうしといてくれ。
やっぱり景気が悪いから、
そんなにデカイ山(抜けのデカい仕事)もなくなってるんだ。
自分は事件屋みたいなものだから、収入は安定してないんだよ。
(此処で云う事件屋とは、絵図書いて民事紛争を起こし、
弁護資格の無い者達で話を付け、謝礼を取る連中)
ああ、スナックは安定してるけど、
あんな物は取るに足りない金だよ。
今はちょっと不動産関係で、
食い込めるところがありそうなんで、そちらで動いてる。
あるアパートがあって、そこの持ち主が倒産しそうなんだ。
(抵当ハガシなどで)倒産する前に入って、
整理(担保物品確保)かけちゃおうかと思ってるんだよ。
倒産して弁護士が入った後だと、おいしくないだろう?
(デカい物件の場合、一番抵当以下もハガさないと
二番、三番の弁護士も物品を押さえに来る)
その前ならナンボでもやりようが有るんだよ。
資産を隠したり、土地の抵当権(順位制動産担保権)を書き換えたりとかね。
倒産前なら不動産を売ろうが、(どっちにしろ倒産するから)金を借りようが関係ないだろう?
そういう法的事実を固めておけばいいんだよ(今は公証法や電公法で難しい)。
一般債権者は泣くだろうけど。
法律は自分の趣味だから、好きで勉強したんだ(極めて重要)。
(略)
収入は、関係している組織に完全に吸い取られるなんていうことはない。
自分みたいな立場だと儲かったときに、
それなりに(組織に)納めるっていうところだよ。
あとは、若い連中に仕事を回してやるくらいかな。
もちろん、別の組織の人間と(仕事を廻って)鉢合わせして、
こっちも代紋を出さなきゃならないような時は、
お礼はしなくちゃいけないけどね。

斉嘉 東政:私の場合は仕事の抜けも、
一旦は電子マネーで金庫にドカンだ。
其処から自分の生活費が月5、60万前後、
支度代“他”が月500万前後だろう。
当然、金庫は中国以外の中央アジア国に複数開設して有る。
欧米国は出来るだけ避けている。
クレディーなど今では紙捨て場だ。
金庫の金も誰が使うか解かりやしない。
元桜田の天下りパチンコ役員“も”使うかも知れない。
内偵を潰す見返りに仕事部隊から“カスリ”を取る。
あれは間違い無く“桜田門一家のシノギ”だ。
某機構は桜田の“仕事部隊”だろう。
そのシノギが奴等の“金庫”に行く事は語るまでも無い。
もう一度言うが「記憶に御座いません」とは言わせない。





取材者:夏原 武
エセ右翼!月に二百万も稼げれば優秀
手口:タカリ

夏原 武:ある民族派右翼団体の幹部は、
シノギとしての右翼行為について次のように言う。

某右翼団体幹部:一時流行していたのが、
ゼネコンのトレーラーを狙ったもの。
コンテナなどを運ぶ、逆三角形のマークがついたロングのトレーラーがあるよな。
あれに、小さなダンプでも運べるようなものを乗せるのは違反なんだよ。
例えば、あのトレーラーの真ん中にポツンと、
ブルドーザーなどを一台だけ乗せるというのは違反なわけだ。
かえって危険だからという理由で。
それを、例えば工場に荷物を搬入した帰りに、
「ちょっと悪いけど、どうせ(会社に)帰るんだろう。
お前のところの機械だから、その中にブル、積んで帰ってくれよ」
と言われると、違反を承知で乗せてしまう。
その後をつけて行って、写真を撮って、
「どうなってんだ!お前のところでラチがあかなければ、
行政に行くぞ!」と、ゼネコンにたいして言うわけだな。
高速道路のスピード違反みたいなもので、
みんなやってるけども突き詰められれば、
違反になるようなことをネタ(証拠、情報)にするんだよ。
あとはお決まりの、ゼネコンの工事に対する嫌がらせというんかな?
(工事)現場に街宣車をほっぽって帰ってしまうとかな。
道路工事の現場で、ガードマンがいないところで、
わざと(工事で掘った)穴に落ちて、怪我をしたと騒ぐというやり方もあったな(昔話)。

夏原 武:(不動産)競売妨害が盛んだったころ、
シノギの一環として、競売予定の建物の横に
右翼団体名の入った街宣車を放置する、という手法があった。
その物件の落札を狙っている業者に、
金を出させやすい口実(状況)を作るのが目的である。
業者側に「このままでは(競売が)スムーズにいかないから、
あそこ(の右翼団体)にいくばくかの金を払ってしまいましょう」
という理屈をつけてやるわけだ。
こうして得られる金品の相場だが、
工事現場などでのユスリ、タカリの場合は五千円から二十万程度。
(今の関東でこのやり方では恐喝で持ってかれる場合が殆どだ)
大手建設会社が関わったマンション建設などでは、
十万円台の解決金が支払われる。

皇民党

エセ右翼のシノギとしては、ほかにも商店街へのユスリ、タカリが有る。
(島のヤクザにバレたらタダでは済まない)
客の自転車が通行の妨げになる、
料理の匂いが悪臭となって漂っている、
道路にはみ出して商品が置かれている
(著者補足、厳密に言うと道交法違反)といった
些事をあげつらい、抗議する(騒ぐ)。
商店街として、数万から十数万程度の解決金を包んで解決する事も多い(かった)。
相手がホテルとなると、相場も上がる。
ホテルロビーでの嫌がらせ、戦闘服の団体が(ロビーを)闊歩する、
(ホテル内の)喫茶店を(特攻服の右翼)多人数で占領するなどして、
百万円単位の金を要求することもある(ホテルは迷惑条例で即通報される)。
いずれのケースも、断れば街宣車が押しかけて、
大音量で、街宣活動という名の嫌がらせを行ない続けるのである(地方の話)。
しかし、今はパッとしない話しかないようだ。

斉嘉 東政:優秀な見識で議員の一人でもコネが有れば話は別だが、
今は憂国も建設会社等からの協賛金だけで活動するのは殆ど不可能だと云う。
其処で多くの憂国が活動資金の為にヤクザの看板も付ける、或いは関係者と成る。
憂国と言えば足洗った人らと云うのが多かったが、今では逆も多い。
内の仕事部隊にも優れた見識を持する某憂国組織の人も居る。
街宣など一切せず、思想家肌も有ってか人間性や器でも遥かに格上だ。
その人からも多大なる指南を頂いている。
昔はその人の頼みにデッチ上げて、
司法書士を背任企業に飛ばした事も有ったが、
今は某省絡みでそれ成りのネタ代を払っている。
サシで話す時は互いに敬語で話すが、
看板持ちの先輩らの前では上位口調で話さなくては成らないのが辛い所だ。
だが、それでも不満の欠片も無い、見せない程の器がデカい人だ。
私も自身の立場に重責を感じて止まない。





取材者:夏原 武
開けてびっくりフロント企業!大学生をリクルートするフロント企業
手口:クラブ経営

夏原 武:手元に流出資料がある。
流出元は某大学の就職課。
学生の就職活動を支援する部署である。
資料には企業名が記され、所在地・情報源・内容が記入されている。
その中に「暴力団系企業」といった記述も有る。
つまりこの資料は、フロント企業や企業舎弟が
大学生の求人を行っていることを示しており、
大学側がなんらかの手段によりその事実を把握し、
学生を保護するために作られたものなのだ。
(略)
このクラブ、その筋では有名なところなのだが、
新卒の大学生を採用している事実は(店員)に知らされていなかった。
狙いは何だろうか。
元幹部に話を聞く事が出来た。

元関東広域組織幹部:あそこはな、いい拠点だったんだよ。
もう今はないよ。
学生を雇うことにしたのは、上の(役付き、上部の)考えだろう。
これからは頭のいい奴が必要だし、大学生もバカが多いが、
それでも一応は受験勉強してるくらいだから、そこそこの頭はあるだろ。
そういう連中を雇うとはいっても、まさか組にどうぞって正直に言って、
入ってくるバカはいないよ。
だったら正業のほうで雇って、雰囲気に慣れさせて、
いずれ取り込めばいいってことだろうな。

斉嘉 東政:だが、今では金さえ良ければ簡単にヤクザ社会入りする学生が多い。
一門でもそんな若い人材が特に必要視されている。
内の仕事部隊にも、芸能向け“ダンス教室”を立てた元学生企業家が居る。

元関東広域組織幹部:別にヤクザにするわけじゃないんだ。
フロント企業の一員としてだよ。
でも、ヤクザにアレルギーのある奴じゃダメだろ?
だから、徐々に慣れさせるんだよ。
ドラッグ?外人(イラン、パキスタン人等)が勝手にやってる分には知らないけど、
S(覚醒剤)は扱ってたからな。
ああいう場所なら(人混みで)発覚しにくいし、
警察も入りにくいんだよ(今は定期的に覆面が来る)。
外人も多いしな。
組事務所として開いていてもな、
外からは見えにくいんじゃないか。
多いんだよ。
(事務所が)店の奥っていうのが。
そういうの風俗ビルなんかでもあるよ。
最上階が事務所になってるところが。
(略)
警察のフロント企業リストのことは知ってるが、
あれはけっこう不正確なところもあるんじゃないか?
俺が知ってる会社でも載ってないところがけっこうあるもの。
フロントもな、繋がりを上手に隠すから。
まずわからないと思うよ。

斉嘉 東政:内の場合は仕事部隊の概要も桜田に挨拶して有る。
別に違法な仕事を打つ奴など、誰も居ないのだから問題は無い筈だ。
妙な隠し事をするから余計な事まで嗅ぎ付けられる。
逆に美味しい銘柄でも餌にすれば其方に食らい付いて行く。
“鬼ごっこ”の時間だって稼ぐ事が出来る。
挨拶さえ欠かさなければ桜田も、
仕事部隊の良き協力者に成ってくれると云う事だ。
だが、余り桜田に挨拶し過ぎると持ってかれた時に弁当食らう。
証拠は握っているが、やはり挨拶も程々にする事も心掛けている。

元関東広域組織幹部:サラ金なんかでもな、
完全にバックがヤクザってところもあるんだよ
(90年代の一部のアイフル支店等)。
だけど知られていないからね。
従業員は普通の奴で、店長クラスが(組織)関係者ってパターンだな。
そういう企業が少しずつ増えてるよな。
バブル以降は勝ち組、負け組が、
ヤクザの社会でもはっきりしてきちゃったからな。
勝ち組は金があるから、それを運用したいんだ。
昔なら証券だろうけど、今は難しい。
(関東の看板なら今の方が旬)
だったら、正業がいいってことなんだよ。
正業とは言ってもヤクザだから、
正業を(表向き)看板にして、裏(違法)もやることにはなるよ。
若い奴が集まるクラブを経営すれば、
(クラブの中で売人に売らせる)クスリの客も同時に作れるし、
売春もできるじゃないか!
有名人が来るようになれば、
(素行を押さえて)芸能関係にも食い込めるようになる。

早稲田
経済ヤクザの金筋、早稲田大学

大学生を雇うのはな、長い目で見てるわけじゃなくて、
とりあえずの体面作りに役立つんだよ。
いかにも(ヤクザ)って感じの顔ぶれが並ぶより、ずっといいだろ。
金融にしても水商売にしてもそう。
だから、あんたが取材した奴みたいに、
それが(ヤクザが)嫌だって逃げるのもいるんだろうけど、
なかにはどっぷりハマってしまうのもいる。
水が合うってヤツな。

斉嘉 東政:逆に今ではヤクザの方が、
リーマン風情やホスト風情だったりする事が多い。
寧ろ組対各課の親父さん連中の方が、
映画に出てくるヤクザの様に見える。
ヤクザを油断させる為に同じ穴のムジナを装う部分も有るが、
“厄座”と腐れ縁を持つ間に祟られた部分も有るだろう。
定年後にヤクザの指南フロントと成る奴も居る。
“水が合う”のかも知れない。
クラブの方は歌舞伎町もヤクザの実質経営が少なくない。
渋谷なんか更に多いだろう。
又、クラブ内の人混みで覚醒剤が撒かれていると云うのも良く聴く話しだ。
中には他所看板の売人を入れてカスリ取ってる奴も居る。
だが、殆どはイラン、パキスタン、アフリカ系に売らせる場合が多い様だ。
当然、カスリを取るのは語るまでも無い。





取材者:夏原 武  

企業恐喝、商取引を装った“総会屋的”手口
手口:ユスリ、タカリ

企業恐喝は大きな範疇では総会屋(株主総会荒らし、守り)の得意とする物だが、
ユスリ、タカリの類と考えていいだろう。
総会屋でさえ難しい時代にあって、
ヤクザにユスリ、タカリが出来るのかと思うかもしれないが、
それが出来るのが世の中の不思議な所である。
(今は代理を飛ばさないと塀の中)

某中堅組織組員:以前は総会屋の看板出してたよ。
(特定機関の)経済研究所系のな。
今はまったく駄目だ。
ベンチャー(企業)が出来た頃には株付け(投資)して、
これから儲けようなんて思ってたが、
総会屋は社会の敵だという論調でバンバン叩かれちゃ、もたないよ。
だけど、ずっとそれでシノ(稼)いでただろう?
他の事なんてできやしないから。
それでしょうがないから頭ひねってな。

夏原 武:それで彼は研究所の看板を下ろし、サービス会社を作った。

某中堅組織組員:サービスって、別に何する訳じゃないんだが、
企業が領収書を切りやすい名前にしたんだよ。
何屋(職種)だか解からん方がやりやすいだろう?
要するに企業は内部に問題抱えてるところが多いんだよ(中堅以上で九割五分)。
なに、大きな話じゃないんだ。
つまりな、中(規模)ぐらいの食品会社なら、
パートのおばちゃん達の不衛生な作業実態なんてのがあるだろ?
だけど、それをマトモに改め(設備補充し)ようとすると、金がかかる訳だ。
そういう実態を表に出したくない。
だから、それを飲み込んで(秘密にして)やって、代わりに下請けさせてもらうんだよ。
もちろん、おばちゃんと一緒になって工場で働く訳じゃないからな。
例えば、製パン工場だったら、そこから出る廃棄物を運ぶんだ。
これを知り合いの(産廃運搬)会社にやらせて、
リベート(見返り料)取ればいいって事だよ。
普通、一万で運べる物が一万一千になったからって困るか?
マズい部分を表沙汰にされるよりはいいだろ?
企業恐喝なんてのは、そうやってやる訳だ。
今、内が食い込んでるのは十社だ。
製パン工場だろ、信用金庫に鉄工場、レストランに小さなホテル、洋服屋もあるな。
昔だったらわざわざタカる事なんかない様な、小さな規模だよな。
だけどな、今はそれをやらないとシノギきれないんだよ。
信用金庫は理事が背任やっていやがって、
その情報を別の理事から仕入れたんだよ。

勧業第一

チクッて来た理事にしても別に正義感からじゃないんだよな。
金が欲しいだけだ。
それで、こっちが介入して備品、消耗品(事務用品)、
清掃(業者介入)を一括して請け負った。
もちろん、同業他社の三割増しぐらいの料金でだ。
一気にでかい金掴むなら、昔みたいに当座預金口座開かせて、
三億ぐらいガジる(経営不振に陥らない範囲で金を抜く)んだが、
今そんな事したら即逮捕だ。
あくまでも商取引でいかなくちゃダメって事なんだよ。
一つ一つの儲けはたいした事はないんだが、
それでもまとまると(何社も有れば)大きい。
月に二千万は行くだろうな。
脱税?それは大丈夫。
内が直接受け取るんじゃないからな。
あくまでも第三者(下請け等)だ。
こっちは(その)請け負った業者からもらうんだよ。
そっちの(同請負)業者は多少税金払ってでも、
仕事が欲しいんだから何も言わんよ。
(税金を払わせなくては脱税で連鎖逮捕も有り得る)

夏原 武:こうなって来ると恐喝かどうかも不明な巧妙さで有る(当時)。
もちろん、恐喝をするだけのネタを仕込む(秘密を作る)のが大変なのだろうが。

某中堅組織組員:そこはヤクザだからな。
いろいろネタは引っ張れるし、それにな、
えばった話じゃないが、ネタがなけりゃ仕込んでもいいんだよ。
そこがエグいわな。
女問題でもあればな、と思ったら女問題作ればいいんだよ。
いつだったかな、レストランチェーンのバカ社長がいて、
こいつがチェーンだけじゃなくて、いい土地だのビル持ってたんだよ。
それを取る事はしないが、一等地のビルならテナント出したっていい訳だし、
ワンフロア回してもらえれば、それを又貸ししたって儲かるだろ。
所がこのバカ、バカのくせに(馬鹿は馬鹿の産物)、けっこう身持ちが堅いんだよ。
でも、女遊びが嫌いって訳じゃない。
昔、人妻に手を出して痛い目にあって、懲りてるだけなんだよ。
そこでいい女あてがって、引っ掛けたよ。
まあ、結局は泣きが入ってな(許しを乞う)。
小さなビルもらって、それで手を売ってやったんだよ。
でも、食材を入れる会社だけは、
こっちの付き合いのある所(産廃下請け業者)を使わせてる。
どっちにしても、でかくゆするつもりはないよ。
細く長くやるのが、企業との付き合いのコツだよ。
(何時かは役員会の派閥対立で問題にされる)
言い忘れたが、総会屋対策関連はやってるんだよ。
ただし、金品の授受などはない。
商取引で付き合った企業を守るのは仕事だからな(信用は大切)。
やっぱり景気悪いから、企業にタカリが来るんだよ。
いや、俺が言うのもおかしいけどな、そういう連中を追っ払うのも仕事だ。
ただな、これも裏があってな。
つまりな、いいネタ(不正証拠等)を持ってタカリに来るだろう?
だけど、そこは俺のシノギだから譲る事は出来ない。
出来ないが、そのネタを買ってやる事は出来るよ。
わかるか?で、そのネタを持っていけば、
こっちはまた新たな仕事で食い込むことも出来る。
そこの(食い込んでる)会社が数割増しの下請け仕事を回すだけで手一杯、
こっちと新しい取引が出来ないって言うんなら、
代わりに別の(取引、子)会社を紹介してもらえばいいんだよ。
(紹介された会社のバックを洗わないとヤバい)
ただ紹介させるだけじゃないぞ。
弱みを握られてる訳だから、
何とか仕事を出してくれと懇願した上での紹介になるんだよ。
だから、こっちは楽なんだ。
なに、条件なんかあんまりよくない仕事でもいいんだよ。
何より、新しい会社との付き合いが出来るんだから(其処から新しい会社も抱き込める)、
それだけでも、持ち込んだ(まれた)ネタを買った意味があるじゃないか。
やってる事は総会屋時代と変わらないんだが、一度にでかい金が入って来ないこと、
まともな商売付き合いをしてる事が、変わった事なのかもな。
良かったか悪かったか、それは何とも言えないが、
根気よくやる必要が有るのは事実だから、
面倒だと思ってる連中も多いんじゃないか?

斉嘉 東政:私がヤクザ社会入りして一番最初に打った、
“本格的”な仕事に通ずる部分も有る。
狙いは全て不正背任企業だ。
資金流動記録の入手法も離れ技を使う。
そして直ぐにコピーした上で資金流動記録を書類化する。
当然、資金流動記録のコピーも印刷した。
同時に狙った企業の投資家も洗う。
投資の為“だけ”の投資家なら、簡単にボロい話に乗せれば簡単に落とせる物だ。
そして投資家、信託を抱き込んだらその印鑑が押された質疑状を書かせる。
投資家から企業に背任の事情説明を求めさせるのだ。
そして投資家や信託名義の質疑状を持たせて、
東証にコネの有る元税理士や司法書士等を狙った企業に飛ばす。
書類化させたコピー画像と資金流動書類も持たせる事は当然の事だ。
だが、企業側が東証一部に上場していなければ難しいだろう。

東証

二部やマザーズでは心許ない。
更に企業側のバックを洗う事も極めて重要だ。
もし企業側のケツ持ちに経団連が居る場合、
資金流動記録等の証拠がその権威で相殺される事が有るのだ。
当然、企業側収益状況の確認も怠っては成らない。
以上の対策を施せば仕事一案件に付き、
億単位で資金流動記録を企業側が買収したのだ。
企業側の不正実態が信託や大株主から
東証へ告発されれば確実に上場廃止だ。
当然、特別背任や贈賄等で持ってかれる奴も出る。
それに比べれば安上がりだったのだろう。
だが、改正法で今はこの仕事も難しい。
重要なのは一度抜いた企業からは二度と抜かない事だ。
そして今度は企業側の専門職種に対応した別の取引先を仲介してやる。
企業側の損失補填を図る為だ。
何度も同じ仕事を打てば抱き込んだ企業も増える。
同時に代理で飛ばした者に企業コンサルタント等の名刺も置いて行かせる。
更にボロい銘柄を紹介すれば逆に企業側に利益を与える事も出来たのだ。
当然、これは企業側の抱き込みを視野に入れた算段に他成らない。
そして今は取引企業仲介や企業買収仲介が私の主たる仕事と成っている。
今では各企業も有益なる取引関係が維持出来るグループ企業に成りつつ有るのだ。
そして此処でも一門関連の経営コンサルタント等に
グループ企業を代行で管理させている。
だが、この仕事は桜田に敵対姿勢を取る看板では殆ど無理だ。
因みに私の学生時代の数学は通知表平均1。
中学時代の偏差値は28~41だ。
学歴は高校二年中退。
私が仕事で最大の武器に定めるのは直感だ。
頭捻っても解からない物は解からない。
頭を捻って論理だ法則だ、では他人の真似しか出来ないだろう。
似た様な仕事でも中身は確実に別物だ。
だが、この仕事もいよいよ潮時が来ている。
グループ企業化への話が本格的に浮上している。
引き際を見誤れば子を産んだ雌蜘蛛の栄養分にされ兼ねないと云う例えだ。
既に次の仕事の絵図も念密に練って有る。
事実上某二課の下請け仕事に成るが、贅沢も言ってられない。
有る意味ではお国の手助けにも成るだろう。
依り桜田や某二課との“絆”も深まる筈だ。





取材者:夏原 武  
保険金詐欺
手口:生命保険、旅行盗難保険金詐欺。

関東的屋系幹部:関東ヤクザの世界で障害保険は、
その昔は指狩族という名前がついたくらい流行った。
(傷害保険掛けさせて)親指切断で三百万ぐらいになるから、
借金かかえた相手には生命保険よりもこちらの方がいい。
生命保険でまでとってパクられれば、無期は行くからな。
二人で死刑だぞ?
生命保険では障害特約付を利用することも多かった。
だいたいは親指切断だ。
さすがにみんなでやるから、保険会社側の調査が厳しくなったな。
今ではあまり聞かなくなっただろう?
それに比べて旅行盗難保険はいい。
こいつは金に困った連中(や債務者)を使う。
集団でな、十人から場合によっては二十人くらい行かせることもある。
(旅行)代理店にも話を通しておいて、まず東南アジアに行かせる。
そこで品物を失くしたと届けを出させる。
それだけのことだ。
現地の警察にはちゃんと袖の下(賄賂)を渡してあるから大丈夫だ。
国名まで言うとまずいかも知れないが、フィリピンだのシンガポールだの、
あの手の国は金さえ払えば警察はどうにでもなる。
盗難の証明書を出して貰えば、保険会社も文句は言わない(今は微妙)。
貴金属なんかだと、出国する時に証明書がいるが、
ビデオカメラあたりなら問題ないし、
現地で買った事にすれば貴金属も大丈夫だ。
まとまった金がいる時には、この方法を使うのが手っ取り早い。
十五人のツアーで一人二百万も保険で取れば御の字だな。
一千万は手元に残る計算になる。
残りは行った奴にも一応いくらか渡すし、現地の警察、
それと代理店、うま味があるよ、これはな。
最近じゃ旧東ヨーロッパとか旧ソ連関係(ルーマニア)がいいね。
東南アジアは有名になりすぎて、保険会社の調査も厳しいからな。

夏原 武:シノギツアーと呼んでいる構成員もいた程だ。
今後も定着・拡大していく最右翼の一つである事は間違いない。
旅行盗難詐欺御一統様と呼びたくもなる。

斉嘉 東政:指詰めで債務を返済させる手口は昭和時代の話だろう。
有るとしたら唯のチンピラ集団の手口だ。
数年前にはの身内に話を通し、
生命保険を掛けて資産家を始末した他所看板の奴も居る。
旅行盗難詐欺も今世紀初頭の話だろう。
手数が多過ぎるが、債務者を必要以上に追い込まない点は良い。
発想も興味深い。
だが、ヤクザ組織のフロント旅行代理店なら今でも存在する。
格安料金を謳うが、宿泊先は工場の倉庫等だ。
今では債務者を福島第一原発や除染作業に派遣するヤクザ組織も多い。

a3

通称、福島旅行と呼ぶ奴も居る。
派遣債務者が受け取る日当2万5000円の内、1万5000円はハネる様だ。
債務返済分はその内の半分程度から、無茶な所では僅か2割程度と聴いている。
更に介入させた派遣屋が3000円はハネる事に成る。
あれでは返済完了前に被爆死するだろう。
当然、派遣された債務者には看板持ちやその関係者の見張りが付く。
中には初めから福島旅行を視野に入れた無担保と云う物まで有る。
一概には言えないが、ヤクザ社会で無担保とはを担保にすると云う意味だ。
         




取材者:夏原 武   
儲かるといっただろ!で一千万。
手口:マルチ食い

夏原 武:マルチ商法(ネズミ講的勧誘商法)にもヤクザは目を付けている。
といっても自分がやる訳ではない。

新宿某組織組員:簡単だ。
女房でも愛人でもいいんだが、マルチをやらせんだよ。
やりたいと言えば。
親になりたい奴(上部勧誘人)が大喜びで来るだろう。
それで普通は、一番下(一般会員)から入ることになるよな。
(マルチ傘下の)小売店とか販売店とか。
だけど、そんなのじゃ儲かるわけないから、
(勧誘会社側は或る程度の約束額を提示するが、それ自体が誇大評価額)、
それを十人(の一般会員)分とか払って、もう一つ二つ上(の勧誘)からやるんだ。
これなら儲かるだろう。
それで説明に来たら、こっそり会話を録音しておくんだよ。
相手に「儲かります」と言わせれば、しめたモンだ。
儲かるわけないんだから。
真面目にやるわけでもないしな(女にワザと遊ばせる?)。
そしたらこっちの出番だ。
その会社の本部に行って「お前、絶対に儲かるって、言っただろ!」とやるんだ。
マルチはいいぞ、(勧誘会社側が)警察にも行かないし、厄介事なしだ(抜け額にも依る)。
(今は相手も西の御客さんを立てたりする)
(詫び代、ケジメ代で)一千万ぐらいすぐに包んでくるからな。
問題は、そんなにしょっちゅう出来ないって事と、
最近じゃ、けっこう警戒されてるってことかな。
(今は相手もヤクザを立てて来る場合が殆ど)
それでも、録音さえ上手くいけばどうってことない。

斉嘉 東政:マルチとは言え、昔は経営陣も市民だった。
そしてヤクザに食われた教訓としてマルチに関わらず、
今では詐欺紛いの殆どがヤクザのケツ持ち、バックを付けたのだ。
初めからヤクザが人を集めて大規模詐欺グループを編成する場合も多い。
先物勧誘、投機勧誘、銘柄勧誘等、その内実も様々だ。
市民の違法営業に対するヤクザの嗅覚は圧倒的だろう。
市民の被害者が桜田に被害届を出しても、勧誘会社に警告が行くだけで損するが、
ヤクザに“被害届”を出せば、ヤクザがその経緯と情報を買い取る事も有る。
そして情報を仕入れたヤクザがヤメ検弁護士等をその勧誘会社に飛ばす。
取引としてヤメ検を飛ばしたヤクザがその勧誘会社のバックに付く事に成る。
そして仕事の秘密を飲む条件として、
強力な“経歴”の役員を入れさせて勧誘会社ごと乗っ取る事も出来る。
今では詐欺会社もバックにヤクザがいる所が殆どだ。
関東ならイケイケな“お隣さん”の一門が強い。
結果的に詐欺会社の力はバックに控えるヤクザの力と比例する事に成る。
反面、法で裁くのが困難な詐欺会社なら内の一門の様な経済派一門が食い込む。
何れにしても乗っ取る事には変わりない。
あれはマルチでは無かったが、
私は“乗っ取らせても”詐欺紛いは止めさせている。
そして真っ当な先物会社に体質を改善させる、株付けもする。
同時に一門と繋がりの有る人物を此処でも役員として送り込んでいる。
その分野に精通した人材ごと会社が手に入るのだからデカい話だった。
そして最終的に面倒看てる企業に買収させている。





取材者:夏原 武  
不正受給、中小企業助成金のパクリ方!
手口:助成金詐欺。

関東広域組織組員:関東でもやってるよ。
福祉の連中も脅しに弱いからな(当時はマニュアルでそう成っていた)。
生活保護の申請に行ったときから仕事は始まってるんだよ。
まず申請書類に書くだろ?
役所だから横柄に言うよな、「これに書いて」ってな。
普通の奴なら恐縮して一生懸命書くだろうが、
そんなことはしないんだよ。
「お前が書け!」で終わりだ。
そうすると、相手は狐につままれたみたいな顔をするんだよ。
それでも「俺は字が書けないんだからお前が書け、サービスしろ!」で終わりだ。
(今は通報される事も多いらしい)
福祉課に役人が何人いようが、
どいつも自分は関わりたくないと思ってるから、文句言ってこない。
言われた役人も考えるんだろうな、どうせ自分の金じゃないんだってな。
(今は役所への監査も厳しく成っている)
それで、生活環境とか親類はどうかとか、
いろいろ聞いてくるよな。
それも同じだ。
「どうやったらさっさと金が出るか、お前が考えて書け。
どんな内容なら申請がすぐに通るかぐらい、
お前らが一番よく知ってるんだろうが、早くしろ!」、これでいいんだよ。
ロクなもんじゃない?当たり前だろ。
俺はヤクザだ。
窓口行って、ケンツク(ゴネ)食らわせて金くれるならなんぼでもやるわい。
取材に来る連中は、生活保護の不正受給だなんだと騒ぐが、
だいたい生活保護の支給基準だってロクに知りもしないんだからな。
あれには七つの扶助があるんだぞ、七つの。

夏原 武:彼がいう七つの扶助(法的援助)とは、
一,生活扶助、二,教育扶助、三,住宅扶助、四,医療補助、五,出産扶助、
六,生業扶助、七,葬祭扶助のことをいう。

関東広域組織組員:その七つの中から、
いかに(扶助金を)絞り取るかってのが大事なんだよ。
ただ騒いでるだけじゃないんだよ。
福祉課の連中なら、どれが(申請が)通りやすいかよく知ってるから、
あいつらに書かせる、それだけのことだ。
それにな、向こうで書いてくれれば、
こっちが強制したなんて証拠もなくなるだろうが(微妙)。
お優しい役人のおかげです、とやれるわけだよ。

斉嘉 東政:実は密かに記録されている事も多いらしい。
そして後に強要罪で持ってかれる事も有るだろう。
役人社会にも派閥対立が有るからだ。
敵対派閥を弱体化する為なら、
情報を売り飛ばす事も厭わないと云う事だ。

関東広域組織組員:金額?だから、それはやり方ひとつだって言ってるだろう。
俺がもらってるのは(一申請)十四万ぐらいかな。
上等だろうがよ、これなら。
別に何かする必要もないんだからな。
知り合いでもらってる奴?
ああ、同じ(行政)地区でってことなら十人はいるかな。
でもな、あんまり多いと、(怪しまれて)監査が入ったりするから、
そんなに増やさないように気をつけてんだよ。
(監査から不正受給が発覚する事も多い様だ)
自分の名義でやってトラブル(著者補足:監査など役所側のチェック)が起きたら、
次は女名義でやるのがいいな(女に売られる事も有る)。
年寄りがいるんだって言えば支給額が増えるんだ。
なに、そんなのどこの年寄りだって構いやしないんだ、書類が整ってれば。
シノギって言うか、まあ、生きるための手段なんだろうな。
あの手(の仕事)は、やろうと思えばいくらでも出来るだろう(当時)。
だいたい、公共料金さえまともに払ってない奴も(払えないヤクザも)多いし、
集金なんかきやしないしな。

斉嘉 東政:ヤクザが受給をカスる仕事は昔から有る。
だが、今は改正法で仕事に困窮する若いモンが生活費の為にやってる場合が多い。
親が組員集めやその納め狙いで、碌な仕事も打てない若いモンに
水(打算盃)を分かった結果でも有るだろう。
有る意味で飼い殺しなのだから、若いモンも堪らない。
中には十人前後の若いモンに扶助を取らせて、
半分以上を納めさせる親も居る。
これも改正法が招いた一つの結果と言えるだろう。
持ってかれる奴も後を絶たない。
其処に桜田の狙いが潜んでいるが、それも後述する。

夏原 武:更に悪質なケースの一つが、
中小企業向けの融資制度の悪用である。

関東広域組織関係者:中小企業助成金にはな、たくさんの種類があるんだよ。
公害防止施設設置事業助成金、産業廃棄物処理施設設置事業助成金、
厚生施設設置事業助成金、技術向上促進事業助成金、
人材育成事業助成金、技術開発・起業・創業活動事業助成金。
知らなかったろ?
これだけあるんだ。
宝の山じゃないか!
でっち上げの会社じゃダメだが、
金に困ってる企業のおっちゃん(社長)と組めば即効だろ!
こんな物、もらうだけもらって、後は会社を潰せばいいんだよ。
法的なことなんていっても、今は倒産が珍しくないから、どうってことない。
一時的な金をもらうのには一番いいんだよ。
従業員もいないような、事実上潰れてるような会社さえ見つければ、
それでオッケーってやつだ。
たとえば東京だったら、保証協会の融資もあるだろ?これがいいんだよ。
「技術・事業革新等支援資金融資」(当時)ってやつだ。
一億まで貸してくれるんだが、
まあ、そこまで欲張らなくても、五千万ぐらいでいい。
保証人が必要だが、それだってどうにでもなる。
利率は年、一・五%で運転資金として九年借りてられるんだから。
目先の金が欲しい中小企業のオヤジ(社長)なら、即乗ってくるよ。
どうせ返す予定なんかありゃしないんだ。
オヤジに二千万、こっちが三千万で(お互い)ドロンだよ。
裁判だ何だってやったって、オヤジはドロン(逃げ)決めこんでるし、
そのころには連帯保証人だってドロン決めこんでんだから。
こっちはそういう保証人になるような人間を押さえて、
後は休眠法人でも用意すればいいじゃないか!
ああ、これは(申請に向けた)保証人用だよ。
借りるのは一応、真面目にやって来た会社の方がいいんだ。
休眠でも本店所在地動かして、役員取り替えて名前変えてやれば、
出来ない事もないが(社名変更から間が無ければ怪しまれる)、
そこまで苦労しなくても、普通のおっちゃん連中が乗ってくるから。
太い奴になると、これで五億ぐらい作ったのがいるよ。
東京じゃないけどな(纏めて?)。
これはほら、全国(のヤクザ)でやってることだから。
(中小企業の社長さんに?)顔の効きそうな土地でやればいいんだよ。
やり方?だから、それは借りる人間を見つける仕事だって。
審査そのほかは、ほんといい加減なんだから。
(先の通り、関東は厳しく成っている)
だから、おいしいシステムなんだが、
そうはいっても(申請に向けた)形式は整える必要があるからな。
その(申請人の)おっちゃんを別の会社の取締役に仕立てて、
そっちでそれなりの収入がありますとやる必要もある。
それとな、いい加減な審査でもポイント(申請受理の傾向)はあるだろ?
それを審査する側から入手できるってのは、
ヤクザならではということだよ。
脅す?いや、別に脅さんでも仲良くなる方法はいくらでもあるし、
そうなれば弱みはナンボでも見つかるから。

斉嘉 東政:事前に推定助成額の二割程度で担当さんに“挨拶”する。
すると、簡単に申請が受理される役所も有ったらしい。

関東広域組織関係者:銀行から借りるほうがよっぽど大変だよ。
さくっといけるよ、さくっと。
人を見つけるのは苦労するけどな。
誰でもいいわけじゃない。
まとまった金があれば夜逃げしてもいい、
そういう奴じゃなくちゃいけないだろ。
いちばん楽に見つけるなら、やっぱり金融絡みだな。
こっち(ヤクザ)と繋がりのある街金あたりから、
ガッチリ借りて苦しくなってる奴を見つけるのが手っ取り早い。
一億も借りさせて、助成も受けさせて、(助成から)金融の借金詰めさせて、
一千万も持たせりゃ喜んで逃げてくよ。

斉嘉 東政:人の事を言えた義理では無いが、
これではヤクザと云う依りも“厄座”だ。
確かにヤクザは社会の汚れ役に必要視されて“は”居る。
私でもヤメ検を飛ばして法で解決の困難な、
役員人事紛争を治める事が出来たのだ。
最初は市民の欲望を叶える事は出来る。
だが、余り利用し過ぎると逆にヤクザの方から「何か無いか?」と来る。
断れば「俺もを懸けて、お宅らの為に動いたんだよ。
お前、まさか!俺のを安く売ろういう腹か!」
そしてデタラメな詭弁文句を立てては、
企業から無茶な仕事を引き出そうとする。
当然、ヤクザは調停時に敢えて企業側も免れない
重大な違法手段を打っている場合が多い。
既に企業側も“共犯者”なのだ。
そしてヤクザは企業側に苦渋の判断を強いた上で役員名義の借り入れを行う。
製造業なら下請けに倒産屋を送り込まれる事も有るだろう。
結果的に企業側が食い潰される事に繋がり兼ねないのだ。
最初は巧みな話で人の欲望を煽り立てる。
最後は厄で祟って人を食っちまう。
欲望は破滅の入り口とは良く言った物だ。
だが、私の場合はその逆を行くのが常套技だろう。
初めに企業側の存続に関わる重大な“背任証拠”を押さえる。
だが、飽くまでも仕事は企業側“にも”有益な形で打つ。
有益な下請けを仲介して収益を伸ばしてやる。
一門と繋がりの有る大企業の子会社を取引先として仲介する。
後は黙ってても見込み益等から企業側の“謝礼金”が、
“コンサル名目”で専用口座に振り込まれる。
企業社会、特に建設業界にはそんな柵が有るのだ。
当然、掛け合いも私の場合は金を取らない。
別の奴を噛ませる場合も半額は口座の金で補う。
信用さえ付ければ或る程度は通常の企業コンサルタントとして扱って貰えるのだ。
初めに原爆を落とせば、後に手掛ける仕込みの自由度も増す。
日本はアメリカに敗戦した歴史を持つ。
企業役員には戦後を知る世代も多い。
この国は米国従属日本だ。
だが、アメリカに立つ自由の女神は何時でも微笑んでいる。
要するにデカい仕事を打つなら風習や柵を利用するのが一番だと云う事だ。





取材者:夏原 武
マフィア化、犯罪集団化するヤクザたちの言い分
「窃盗?強盗?食うためには仕方ないだろ!」
手口:窃盗、強盗

夏原 武:中国人と組んで強盗をしその後、
その事実が組織の知るところとなり、破門された人間はこう証言する。

元関東広域組織組員:あいつらと組んだのは、
今考えるとマズかったかもしれないな。
俺が手引きしたのは普通の家が二軒、
それからひとけのない場所にあるATM、あとはスーパーだな。
どれもこれもいい金になったよ。
俺がもらったのも数千万だ。
そんな金は、もうどこにも無いけどな。
なぜそんな事したかって聞かれても、
金が欲しかったからとしか言えないよ。
シノギもないし、女もいないし、金稼ぐって言ったら、
強盗がいちばん手っ取り早いじゃないか。

夏原 武:結局のところ、博徒が博打を打てず、
露天商が祭札に出られなくなっていけば、
最後はマフィアのようになるしかない(上は企業化する)。
代紋を掲げた商売は禁止、
正業であっても組関係者が多く関わっていればヤクザ組織と見なす。
(桜田へ定期的に“挨拶”すれば、御目こぼしも有る)
当局は一時、徹底した取り締まりによってヤクザ組織の弱体化に成功した、
と狂喜していたが、現実は違っていた。
ヤクザは地下組織化を進め、さらには追い詰められた若い組員が、
こうした単純で粗暴な犯罪者へと変貌したのだ。

斉嘉 東政:看板に依っては、納めが高過ぎる部分も理由に挙げられる。
末端に取って仕事に喘いでれば納めも苦しくなる。
納めが上部だけの20万程度なら良いが、
中には上部に30万、親に50万、看板本家に65万と云う末端も有った程だ。
更に義理で月300万以上は飛んでくだろう。
これでは組員が借金取りに追われるに等しい。
上部や親が「捕まらなければ見逃してやる、
アイス撒いてでも納めるモン納めろ!」と暗に促してる様な物だ。
それで若いモンにアイス撒かせて置きながら、
自分は任侠気取りの親も居るのだから話に成らない。
内の一門も国内有数の経済派一門だが、納めの額は特に決まっていない。
月30万納める所も有れば、月1000万以上納める末端も有る。
末端は立ち上げ時の種金が後の組織体質にまで確実に影響する。
だが、私もヤクザ社会入りする以前は決して盗みとは無縁で有った訳では無い。
その話も後述で触れる。
参考までに役付きのヤクザが残した証言にも触れる。

関東広域組織幹部:情けない話だよ。
なんでヤクザになったのかも忘れてしまったんだろう。
綺麗事は言わんよ。
悪いことするな、なんて事も言わん。
だけどなあ、強盗やら窃盗やらは、
いくらなんでも恥ずかしいと思わなきゃいかんだろ。
(アイスなら良いのか?)
うちの若いのでも窃盗で捕まったのがいる。
夜中にバールでドアこじ開けて、盗みに入ったんだ。
たかが十数万盗んで逮捕された。
そんな者、絶縁だよ。
苦しいのはわかるけど、窃盗や強盗は話にならんよ。
金がなければ日雇いでも何でもやればいい。
なんであれ、稼ぐことは恥ずかしくもなんともないんだから。
ヤクザなら楽して金になるっていう考えがそもそも間違ってんだよ(同感)。

夏原 武:しかし、現実に金が無く、
周りには金回りのいい同輩や先輩(ヤクザ)がいれば、
そうも言っていられない。

元関東広域組織組員:親分や兄貴分の言うことは理屈としてわかるが、
じゃあ、俺らはいったいどうやって食えばいんだよ。
女でもいればヒモをやってもいいだろうけど、
そんな奴ばっかりじゃないんだ。
日雇いやればいいって?
そんな事するくらいならヤクザになんかならねえよ。
ビデオ屋でバイトしてんのとかいるよ。
俺の周囲にも。
でもなあ、だったらカタギのほうがいいよ。
オヤジたちも、もう少しシノギを回してくれればいいんだよ。
自分たちでガメ(独占)っちゃってさ、こっちは食うだけでもつらいんだから。
俺は強盗はやらないけど、盗みはやるよ。
車も盗むし、金も盗む。
相手が中国人だって何だってかまわない。
格好のいいシノギなんかないんだから。
高級車いっぱつキメれば五十万ぐらいにはなるんだよ。

GZ


月に三台もやれば、上にも金を納められるし、俺も楽できるから。
犯罪者だって?そりゃそうだけど、どうせヤクザなんだから同じだろう。
(この理屈を唱えれば、何やっても許される様な気分に成る事が有る)
あんた、綺麗事言ってるけどな、警察から見れば一緒だって。
シノギかけても、物盗んでも。
違うのは、俺たちヤクザは刑罰が重い(三割増)ってことぐらいだろうがよ。
これから?これからもやるだろうな。
ただ、強盗はやらないよ。
もし、そこで人(家主)に会ったら殺すことになるかも知れないだろ。
それはダメだ。
死刑になるだろう。
クルマ盗むとか、宝石盗むとかなら大したことはないよ。
人がいる所ではやらないし。
(組に発覚して)絶縁?まあ、しょうがないよなあ。

夏原 武:二十代半ばのヤクザの話だ。
納得はできないが、彼なりの理屈はわかる。
ヤクザである自分と、ヤクザらしく生きられない自分との間で苦しんでいる。
(略)
事務所にいても金にならないし、
おいしいシノギはすでに誰かが抱えている。

元関東広域組織組員:しかもさ、その誰かを倒してシノギを奪うこともできないんだよ。
なんでって、同じ代紋なんだから。

夏原 武:ここに寡占化の悲劇が有る。
戦国時代ならば、誰かを倒すことで領地が増えるから、皆戦う。
だが、国が統一されてしまった後では、新しい領地はどこにもない。
(代わりに看板の傘下一門がバラバラの新国家と成り、
島荒らしや内部抗争が絶えなく成った)
かつて豊臣 秀吉が朝鮮半島にまで領地を求めたように、
新しい「敵」を見つけなくてはならないが、
倒すべき「敵」がすべて仲間では、どうしようもない(同じ看板でも敵は大勢いる)。
(略)
元広域組織二次団体で幹部にまでなった三十歳の男が言う。
上(上部組織、先輩等)が下を(傘下組織、後輩等)を
食うのが当たり前になってしまえば、
下は犯罪に走るしかない、ということなのか?

元広域組織二次団体幹部:誰もやってないシノギを思いついたとするよね。
それでいい収入が入ったとする。
すると、兄貴から聞かれるんだ。
何やってんだって。
嘘はつけないから、正直に言うだろ?
そうすると俺もかませろ、となる。
断れないよね。
あっというまに、そのシノギは兄貴のものになっちゃう。
もっとも、そういう兄貴もオヤジ(親分)に取られたりするんだけどね。
ヤクザ社会じゃ、人の茶碗とるな、なんて言うけど、
上が下の茶碗取るのは、今じゃ普通なんじゃないの。
俺はそういうのに嫌気がさしてね、カタギになったんだけど。

斉嘉 東政:上部への納め以外に親や兄貴にも
金を納めるのは昔からの柵では有る。
兄貴に仕事を持ってかれたと云うのも良く聴く話だ。
納めが足りないと抜かして若いモンをした奴もいやがる。
私も家紋外しだが、会から若いモン6人任されている。
だが、基本的に若いモンに仕事は無い。
カスリ、みかじめも禁止している。
今時、島から摂れるカスリなど高が知れている。
若いモンにはそんな小事に囚われて欲しく無いのだ。
会長から任された大切な若いモンだ。
その代わり仕事の際には関係先への挨拶、連絡役“他”の役目は与えている。
要するに一つの仕事を組織仕事で行うと云う事だ。
若いモンの資質を見極めた上で的確な仕事を与える。
そして若いモンに秘めた其々の資質を伸ばしてやる。
結果的に私の人事適材力の修行にも成る。
口先でガタガタ抜かさずに敢えて失敗から学ばせる事も重要だ。
その検証はそれ以上に重要だろう。
だが、これは飽くまでも会長の受け売りに過ぎない。
私も同じ様に伸ばして頂いたのだ。
“市民に手を出すな”や“市民に迷惑を掛けるな”と云う、
当て付けがましい事も一切言わない。
余り良い言い方では無いが、
私の場合は“金に成らない市民など相手にするな”が常套句だ。
今の若いモンに綺麗事言った所で大した意味など伝わりはしない。
其処で敢えてドライな表現で教えてやる。
時節柄、若いモンに闇金やカスリなど独自の仕事を打たせれば、
直ぐに桜田に持ってかれるだろう。
結果的に私の下手打ちに成る。
その結果を避ける為に仕事の際は若いモン全員を介入させた組織仕事で行くのだ。
当然、仕事の結果も私を中心とした若いモン全員で検証する。
そして自ずと経済の性質や現行企業の体質も学ばせる。
同時に仮想仕事の絵図も書かせる。
これは特に重要だろう。
いざと云う時の為に私の“分身”も育てておく云う事だ。
そして其処からも奴等の資質が垣間見れる。
他所からは“若いモンに甘い”と一蹴りだろうが、
若いモンを飼い殺しにして衣食住も儘成らなければ何をするか解からない。
しかも口先だけでガタガタ抜かせば今の若いモンは確実に捻くれる。
基本的に私“も”口先では怒らない。
何気なく曖昧に指摘する様な感じだろう。
これも会長の受け売りだが、無言のプレッシャーも与える。
度胸を鍛えるより、暗に自主的な責任感を与えた方が、
遥かに思い切った行動力を発揮する奴が育つ。
強い相手に度胸だけでは限界が有るのだ。
市民も一人なら大人しいが、企業組織に責任を尽くせば
平気でヤクザ社会に経理担当の始末を頼んで来る。
組織に於ける人の責任感は、確実に度胸で成せる技を凌駕するだろう。
その性質は会長から嫌と云う程学んでいる。
責任感が与える行動力に限界は無いのだ。
私はそう確信している。
そして先日、若いモン二人が会長の元で看板持ちに成っている。
残った6人は私の若いモンに成りそうだ。

夏原 武:上が下を食うのが当たり前になってしまえば、
下は犯罪に走るしかない、という事なのか?

関西系組織三次団体幹部:強盗なんかで金をドンと作ろうと思う
連中がいる一方で、羽振りのいい兄貴分見つけて、
その下で仕事して小遣いもらえばいいと、
考える連中が増えてるんだな。
そんなもの、サラリーマンと一緒だよ。
「てめえの器量でシノギかけていこう」じゃないんだから。
ガチガチに固まってるとこ(競争相手の多い仕事)に
手突っ込むなんてのは出来ないだろ。
だったら、誰も手を入れてないところを探すしかない(作った方が早い)。
それがシノギってもんだからな。
頭使って一生懸命そういうのを探すのが筋だが、
面倒だと思えば、持ってる奴から奪うのが早いわな。
それが強盗であって泥棒だってことだよな。
自動車の窃盗なんてのは、大掛かりにやってるけど(組仕事で行く所も有る)、
あれがヤクザのシノギでございますって胸張れるかい?
張れないよな。
なんだ、あの野郎、泥棒かよ、で終わりだ。
金融モノのクルマ撒いたりな、
事故モノごまかす(事故車を中古車に誤魔化して売る)のとは違うんだ。
そりゃヤクザも色々で、詐欺まがいのことやったりするのもいるよ(今は大勢居る)。
地面師(登記飛ばし、動産詐欺師)みたいなのもいるしな。
だけど、基本的にそういうのは犯罪だろ。
みっともないよ。
博打で食えりゃ一番いいんだが、そうもいかんしな。
景気が悪いから土建仕事もない。
(今は東日本大震災復興事業に幾らでも介入出来る)
金融やってる兄貴探して、店で働いたり、裏ビデオ屋で働いたり、
なんだか、自分がヤクザだってこと忘れそうになってんじゃないか?
毎月決まった金もらってさ。
でも懲役に行くリスクは高くてな。
ああいうサラリーマンみたいなのも気の毒だよなあ。

斉嘉 東政:何だか内の会の事を言われてる気がして来たが、
本質的に内の会はヤクザ組織ではない。
負の総合企業と言えば解かり易いだろう。
実際に法令順守を心掛けているのだからそう云う事にも成る筈だ。
島も無ければカスリも取らない。
会長以下も常にダブルの高級スーツを着用している。
疲れた服装のヤーサン風情の様に、
街中を偉そうに歩いたりもしない。
会長や理事長補佐達は決して強面ヅラでは無いが、
平穏時でも常に鋭利な圧迫感を放つ人達だ。
過去は有るが、私だって優しい顔をしているだろう。
実際にクラブの女からそう言われた事が有る。
又、ヤクザ社会で使われる用語の殆ども隠語で話す。
ヤクザは業界モン、これだと観光業界だか食品業界だか良く解からない。
これは東京なら割と使われる隠語だろう。
稼業モンと云うのも今と成っては胡散臭い物だ。
更に警視庁は桜田、所轄署やお巡りさんは桜と言う。
抗争はカチ合い、本抗争や大抗争は本カチと云った具合だ。
回転モノだと引く度にカチャカチャ鳴る。
だが、私も基本的“には”道具は持たない。
其処で格闘技を若いモンにも叩き込んでいる。

ガサ

亡き義父から無理やり叩き込まれたボクシングと空手、
そして私の実戦で編み出した物だ。
要点だけ教えるから簡単に習得してくれる。
私情を抑える術に長けた若いモンなら、
ロシアの首折りも教える。
これは私の独学だ。
あれは素手で人をれる。
ヤメ検の助力も得れば12年程度で出て来れるだろう。
更に“かわし”の為にケースの中には常に鉄板を入れさせている。
厚さ3cmだと45口径でも通さない。
この“かわし”を有効に生かす為にも実戦的な格闘術が必要なのだ。
同時に掛け合い際は実際に場に連れて行き、
其々の場に適した逃亡手段も教えている。
当然、その逆もだ。
目の前の者、姿の見えない者の殺気を読み取る術も一応は教えているが、
流石にあれだけは実戦を踏ませなければ駄目だ。
喧騒に紛れる妙な足音、ドア向こうの妙な静けさ、
掛け合い相手が不自然に冷静に成った瞬間など、
その一旦を口で語る事は容易いが、やはり経験しなければ何も解からないからだ。
この項目の締めとして、ヤクザと組んだ中国人窃盗団の証言も載せる。

中国人窃盗団員:地方で強盗に入るときは、
(その地方の)地元のヤクザに助けて貰った。
土地勘のない我々だけで動けるはずもないし、
どこに金が有るのかもわからない。
(ヤクザが抱き込んだ金融会社等から金の移動先を中国人に漏らす。
そして強盗収益の二、三割程度がヤクザの取り分と成る)
皆そうだよ。
どのくらい前からだろう、五年ぐらいだろうか。
行き当たりばったりでやってたね。
デパートや貴金属店なら、金も物もあるのは分かってるから、
最初はそういう所をずいぶんと狙った。
楽だったし儲かったけど、警備は厳しくなっていったね。
ヤクザとは、盗んだものを捌こうとしている時に知り合いに成った。
神奈川のある場所でそういう人(ヤクザ)に会ったんだ。
大きな組織の人だよ。
(略)
そこは、土建屋の社長さんの家。
なんで現金があったのかはよく分からないけど、
ヤクザが絶対に億単位であるからって。
(土建屋がヤクザと手を切ると、こんな仕返しに利用される事も有る)
彼には一割やるという約束ね。
少ない?だって、何もしないんだよ、(ヤクザが)場所教えるだけだよ。
やるのは全部こっちだからね。
そうやって付き合いが出来て、それがあちこちに広がっていった。
我々だけじゃなくて、他の(大陸マフィア)組織もそうやって、
ヤクザの知り合いが出来たんだよ。

斉嘉 東政:この手の盗み仕事は東日本なら関東以北が多いだろう。
数年前に北関東の同じ看板の島も“西のお客さん”にやられている。
此処で先述した通り、私が過去に手を染めた盗み仕事に触れる。
時期はヤクザ社会入り前の1995年夏から2003年以前の話だ。
今は解散したが、北陸地方に本部を構え、
歌舞伎町に出張っていた、名門老舗的屋組織傘下が
トルエンを撒く仕事を打っていた。
新宿駅東口付近に売人を出している通常のヤクザ組織は、
コネの建設会社経由でトルエンを卸している所が殆どらしい。
だが、その名門老舗的屋組織傘下は湾岸のコンビナートなどから、
トルエンを盗み出して売人に撒かせていたのだ。
その盗み役の一人が私だった。
盗みに手を染めた理由は単純に金が無かったからだ。
仕事は嫌いだったから、女も生活費の為にソープランド行きだった。
バンド時代の私は覚醒剤やトルエンにも触れていた。
そんな付き合いも有って老舗的屋組織傘下の売人から誘われたのだ。
事前に都内某所で化学工場の所在地とトルエンの保管場所が印された紙を貰う。
そして二人組でトラックを借りて化学工場へ侵入したのだ。
いざと云う時の為にオモチャの道具も渡されていた。
当然、服装も若いモン風に衣変えだ。
そして保管場所に侵入すると一斗缶10個前後を盗み出す。
約束された都内某所へ戻ると盗み出したトルエンの一斗缶、
10個前後を7、8万で向こうが買い取る事に成る。
だが、早くも1995年冬に桜田の内偵が掛かった事を亡き義父から伝えられたのだ。
先述の通り、義父は若い頃に初代稲川会某一門で若衆修行した過去が有った。
そして若き日の兄貴から桜田の内偵情報が義父に齎されたのだ。
桜田が私と相方を強盗で立件する寸前だったと云う。
先に私と相方を押さえて後述する別件を吐かせる腹だったのだろう。
戦後以来、歴代稲川会や住吉会等は桜田と大規模に癒着している。
結局、私は東京から地元に帰る事に成ったが、
盗み仕事はその後も続けていた。
最後はその盗み場所も埼玉県東松山や群馬県大泉など、
関東地方一帯にまで拡大していた。
結局、2003年以前に私は群馬県警に押さえらたが、
罪状は何故か窃盗罪だった。
オモチャの道具を向けたのも一度や二度では無かった。
実際に“動いたら撃つぞ!”とやった事も何度か有ったのだ。
其処までやられたら、工場側も被害届を出した筈だ。
本来なら事後強盗罪が成立し得たのだ。
私は裏で義父の挨拶が巧を奏したからだと想っている。
だが、東京時代の足付きが元で押さえられた訳では無い。
あの名門老舗的屋組織の傘下は薬局、覚醒剤密売組織でも有ったのだ。
そしてその覚醒剤密売組織が摘発されて私も連鎖的に押さえられている。
判決は確か懲役2年4ヶ月で5年の猶予だった筈だ。
有る意味ではヤクザ社会入りに向けたチンピラ修行には成ったろう。
又、この過去を理事長補佐(偽職)に話した際に興味深い言葉を頂いている。

理事長補佐:それは駄目だ、持って来んなら、
ちゃんと断って持って来なくちゃな。
隠れてコソコソした時点で負けだぞ。

斉嘉 東政:一見、強盗を示唆する言葉に思えるかも知れないが、
理事長補佐はそんな破廉恥な仕事を打つ人では無い。
仕事を打つのは私が任された仕事部隊だ。
あれは「キッチリ掛け合って貰って来い」と云う意味だろう。
ヤクザの言葉には常に暗黙の意味が有ると云う事だ。
若いモン全員にも私の過去を話して有る。
何処かで情けない奴だと想ってくれないと困る事情が有るのだ。
若いモンに出来ない事が私には出来るからなのだろう。
何処か無垢な所すら有る奴等だ。
口に出さずとも、何処かで私を尊敬してるフシが有るのだ。
会長の元で看板持ちにさせるのだから、
尊敬すべきは会長だけだ。
私の元で看板持ちに成っても、私共々会長の元で役付きに成る奴も居る筈だ。
だが、奴等も直に会長に接すれば驚愕するだろう。
行動から実力を見せる人だから至って解かり易い。
そして奴等もあの無言のプレッシャーで確実に鍛えられるだろう。
事務所の床に小さな埃でも有れば自分で掃除してしまう人だ。
その場に居合わせた先輩は会長の顔も見れなかったと云う。





取材者:夏原 武
ダミーの社長を立て、手形乱発。
手口:大規模取り込み詐欺。

関西広域組織幹部:だいたい三社ぐらい並行してやっとるわな。
というのもな、仲間内の会社でも取引させとくやろ?
信用作るの楽やし、被害者面して警察の動きも睨めるんや。
この時、一番注意せなあかんのはな、
みんなカタギのちゃんとした会社だという体面を作っておく事や。
最初から、極道が関わっていると成ったら、警察に睨まれるのはもちろん、
取引が出来なくなるやろ?せやけどな、取引先が極道に泣き付いたり、
右翼や何やらに頼んで揉める事があるやろ?
その時はワシらの出番になる訳やから、
ただの詐欺師がやっとる取り込みとは訳が違うんやな。
取り込みはな、短期間でちゃっと稼いで終わるやろ?
こんなキッチリとした仕込みはせんわな。
せやけどな、うちらは極道や。
組仕事にしてじっくり出けるから、警察も解らんのとちゃうか?
奴らが調べても「詐欺を狙ってやりました」
何ちゅう馬鹿がこの三千世界におる訳ないやろ?
誰かが謳わん(供述)限り、まず大丈夫や。

斉嘉 東政:実際に倒産屋のヤクザが持ってかれたと云うのは余り聴いた事が無い。
数年前に六代目山口組の傘下組長が持ってかれた位だろう。

関東広域組織幹部:社長役の奴も詐欺師みたいなモンやし、
一億もやれば御の字やろが。
(略)
テレビ家が来たりして、鬱陶しいこっちゃで。
あれはな、うま味のあるシノギやさかい、うかつな事は誰も言わんよ。
ワシらの所まで来る事もあらへん。
あんたも見たやろ?テレビ屋の連中もダミー(架空社長)に取材して、
さぞ満足げなツラして帰っとったわ。
取り込みの話やったな。
まずはな、万が一に取り込みと認定されて、
ムショ行っても構わん言う人間探すんや。
(塀の中には“代りを飛ばすから大丈夫”と騙す奴も居る)
せやけどな、誰でもええいう訳にもいかんゆう事や。
会社経営の経験があってな、細い事、頭の切れる奴や。
そういう連中は仲間もおるさかい、会社簡単にこさえよる。
休眠法人なんてカッタルイ話は無しや。
キッチリ会社作りまんがな、一千万つこうてな。
(過去に休眠で有った事が取引先に知れると警戒される事も有る)
会社がでけたら取引先探しや。
なに、不況やから誰でもフキコメ(騙せ)ば、ひょいひょい飛んで来るがな。
そないな連中に信用付けなあかんから、最初は現金取引や。
半年くらいやる事もあるで。
現金取引なんて儲からん事は承知の上やから、どっかから借り入れになるわな。
ああ、資金力が無いとでけんで(最低2億前後の支度が必要らしい)。
Y貿易の件はな、あれでどのくらいやろ?
七億ぐらいは儲かったんちゃうか?

夏原 武:幽霊会社(架空会社)を設立し、ダミー従業員も雇いれて取引を開始する。
初期は現金で品物を入れる。
まっとうな商売などしないので、購入商品も次々と横流しで叩き売ってしまう。
有る程度の信用が出来た所で約束手形で取引を開始する。
最初の一回や二回は約束手形を決済する。
仕事はここからが本番になる。

夏原 武:結果的にどの程度の収益になるんですか?

関西系広域組織幹部:さあ、やっとるとこがどの程度あるんかいなあ?
それでも、年に三社も扱かせば(計画倒産)二十億か?もうちいと有るやろな。
最終的には一千億にはなっとるで、(グループ分けされた倒産屋)全部でな。
ほんま、解りにくいのや。
ワシも自分の関係しとる所しか解らんのや。
知り合いがやっとるのも、みんな年に十億、二十億ちうとこやろな。

夏原 武:換金しやすい商品を手に入れるのがポイントだそうで、
オフィス用品などは狙い目だという。
(単価の高い)ノート・パソコンがその筆頭となるのは言うまでも無いだろう。
最終的に幽霊会社が背負う十五憶円の負債のうち、
ダミー社長の取り分が一億円、その他の人件費で一億円。
最初に使った資金が、取引やビルの保証費などで五億円程度。
残りの八億円近くが一つの幽霊会社の収入になる。
その八億円近くが暴力団側の犯行収入になるという。
そしてこのグループによって年間一千五百億円程度の金が
闇に消えるのだろう。

斉嘉 東政:東京ヤクザ社会ではこの仕事を打つ連中を“倒産屋、潰し屋”と言う。
だが、関東では少なく成っている様だ。
幽霊会社として利用され易い会社は、
経済倫理に乏しい若手実業家が経営する事実上倒産状態の会社が多いだろう。
狙われ易い製造会社は物品単価の高い商品を製造する会社だ。
高級建設資材などを製造する会社も狙われ易い。
親会社がこの仕事にハメられれば、子会社も連鎖倒産する事に成る。
そして倒産した子会社の社長家族が
一家心中を遂げたと云う話も聴いた事が有る。
だが、倒産屋にハメられた会社なら子会社ごと、有る“絡め手”に利用出来る。
特殊技術を持する子会社を、下請けに欲しがる所など幾らでも有るからだ。
仕事は長い目で打つ。
先ず、倒産手続した親会社の情報を洗ったり、場合に依っては買う。
それ成りの額を低利子で貸し付ける。
そして別の関連企業に紹介するのだ。
当然、紹介する企業に不利益が生じる場合は補償額も提示する。
倒産屋にハメられる様な親会社は有限が多いだろう。
後は面倒看ている企業群の下請けとして、こちらも保障仲介する。
豪華な建設資材の販売代理店も、下請けとして欲しがる所は多いだろう。
会社再興の為に出資する奴も確実に集められる。
短期で計れば仕事には成らないが、
長期で計れば倒産会社再興に向けた出資を差し引いても、
仲介料や見込み額で倒産屋二案件程度の抜けには成る。
これは倒産手続き二年後を視野に入れた長期だ。
親会社役員の待遇を保障すれば謝礼金も入って来る。
時期を見て親会社も別名の新会社として登記させるのだから、“特に”問題も無いだろう。
此方の関連人物を役員として送り込む事も出来る。
更に二つの重要な仕込みが必要だが、
余り細事を語ると幇助に成り兼ねないので止めて於く。
所で人の仕事の話だったが、企業関連の話だと嫌でも私の方が企んでしまう。
だが、倒産屋は人件費も飛べば、更に複雑な“絡め手”も必要に成る。
やはり今の私の“立場”では効率が悪い。





取材者:夏原 武
覚醒剤取引。
手口:覚醒剤卸し、覚醒剤密売。

夏原 武:覚醒剤の末端価格は一回分(著者補足、0.1g)で一万円程度。
覚醒剤の売買は、仕入れ値の数百倍から千倍(著者補足、混合物等で変化する)にもなる。
とてつもなく儲かるシノギである。
数百倍から千倍とはずいぶん開きがあるように思えるが、
それは覚醒剤の流通ルートが複雑怪奇だからだ(時期に依って変わっても来る)。

元関東広域組織幹部:最初に買い付けた時に三千万払ったとするな?
これで三十キロのシャブが手に入る(買い付け元が北朝鮮の場合)。
買った人間がそのまま捌く(密売する)ことが無い訳じゃないが、普通はやらない。
次に卸しみたいな奴がいる。
これが十人として、一人三キロずつ、九百万ぐらいで売りさばく。
(組仕事なら12人程度で小分けして、初めから4人は押さえられる事を想定する)
最初の奴(買い付け元)は六千万儲かるわけだよ。
実際には混ぜ物をして増やすから一億にはなるかな?
その十人がまた下の二十人ぐらいに分けて、
さらにそいつらが、といった具合に流れて行って、最後の最後が売人になるんだ。
こいつらにはグラム五万円ぐらいじゃないかな?
それが十万になるんだから悪い話じゃないだろう。
末端(価格)から元値を考えると、
最初のやつが莫大な金を手にした様に思えるかもし知れないが、
そういう計算じゃ無いんだよ。
普通の商品流通と一緒で、中間マージン(差額)やコストが掛かるという事だ。

夏原 武:それにしても覚醒剤の売買の様に、ただ右から左に物を動かすだけで
億単位の金が入るシノギは少ない。
月一回でも十分なシノギになってしまう。

元関東広域組織幹部:そこがシャブの怖いところでな。
混ぜ物だって増やせば増やすほど儲かるだろう。
だから、他のこと(仕事)を考えなくなっていかんのだよ。
どうしても金がいるんだとなると、すぐにシャブが頭に浮かぶんだな。
シャブはな、売る方もハマっちまうんだよ(中毒に成る)。
関東のある組なんかは、オヤジがシャブ好きだから、どうしようもない。
(内の看板では直系一門の総長、執行部本役がハマっている所が有る)。
上部組織が注意したって聞くもんか!
自分が打つ分を下(若衆、傘下)に用意させてる訳だから、
下がシャブ捌いたって文句いえるか!
でもって儲かれば、それを上部組織に納めるから、
今度は上部組織のほうでも、まあいいか、になっちゃうんだな。

夏原 武:最終的に覚醒剤の利益総額はどの位になるんですか?

元関東広域組織幹部:シャブで得ている利益総額だって?
そんなもの誰にもわからんだろう。
そうだなあ?小さな組でもシャブやってる所なら、月一億にはなるだろうな。
買い付けから売人まで、全部自分の所でやれば
十億以上になるだろうが、それじゃあ、いずれ摘発されてしまう。
だから二段階だな。

斉嘉 東政:抗争で金庫が苦しく成った場合、
組織の金庫を立て直す為に、敢えて大規模な覚醒剤取引をやる場合が有る。
当然、指揮役は持ってかれるのを覚悟で大仕事を打つ事に成る。

元関東広域組織幹部:買い付けと卸しまで自分でやって、
その先はよその組織を使ったり、アンちゃん達を使うんだよ。
池袋あたりでギャング(カラーギャング、当時)がクスリ扱ってたなんて有名な話だろう。
(イラン人に卸す場合も多い)
ただ、これはトータルの金の話だから、誤解しないでな。
いっぺんに何キロも捌ける訳じゃないんだよ。
(金が)必要になったら、その時に金と交換するという形だから。
10キロのシャブが入りました、じゃあすぐに全部売っちまえ、という事じゃないんだ。
小分けして、必要な分だけ(金や道具と交換する為に)出していくんだよ。

斉嘉 東政:私の実感や聴いた話を総合すれば、
東京に於ける広域指定傘下の六割はアイス、覚醒剤に触れている。
売人は限られるが、卸しを含めてもそれ位だろう。
当然、内の会は覚醒剤など一切触れていない。
そんな物に触れなくても、確実に謝礼金名目でその月平均額3倍以上は集まる。
又、覚醒剤の仕事には常に厄介事が付き纏うのだ。
何処の一門でも派閥対立の一つや二つは有る物だ。
敵対派閥の奴等から桜田へその取引実態が売り飛ばされる事が有るのだ。
又、一門執行部が覚醒剤で抜きん出た傘下を売り飛ばす事も良く有る話だ。
内の看板でもあの下手打ち野郎が売ったお陰で解散に追い込まれた老舗名門一門が有る。
組織再編を視野に入れた算段だったらしいが、
結果的にお隣さんの一門がデカく成った。

アイス

此処で覚醒剤取引に於ける一昔前の仕事手段を挙げる。
先ず、役付きが中国の仲介屋に話を通した上で、
若いモン六人前後を現地に送る。
そして北朝鮮工作員と繋がりの有る中国人を仲介して貰う。
だが、覚醒剤取り引きで中国に飛ばされた若いモンは殆ど死駒扱いだろう。
若いモンが覚醒剤取引で中国当局に押さえられれば、
確実に死刑判決が下されるのだ。
今は中国に若いモンを飛ばす所までは変わらないが、
大体は中国国内で密造された覚醒剤を買い付ける所が多いと聴いている。
品質も混合の多い劣悪な物らしい。
路上での密売価格はやや値崩れを起こしてるらしいが、
それでも10年前の北朝鮮産に近い値段だろう。
北朝鮮の軍部機関が密造した高純度覚醒剤では、
その二倍から三倍まで高騰している様だ。
今では卸値の安いメキシコ産やコロンビア産を買い付ける所も増えている。
又、覚醒剤の仕事には日本に持ち込んでからも厄介な事が有る。
小分けした覚醒剤を日本国内に持ち込む間に、
勝手に少量をクスねる奴が居るのだ。
当然、クスねた分を混ぜ物で補うのだから純度も落ちる。
そんな物を売れば客離れが起こるだろう。
要するに持ち込んだ覚醒剤を誰かが味見しなくては成らないと云う事だ。
ヤクザ社会には“賢い者は人に売り、愚か者は自分に打つ”と云う言葉も有る。
上客に味見させる所も有るが、基本的に客は信用しないそうだ。
其処で売り手のヤクザが味見する事に成る。
初めは若いモンが味見する。
次第に役付きも味見する様に成る。
そして最後は親までハマっちまう。
そんな事も決して珍しい事では無いだろう。
東京では覚醒剤取引も組仕事が基本だが、
あれでは組仕事なのか、アイス・パーティーなのか良く解からない。
そして何時かは上部や執行部に売られて絶縁だ。
当然、絶縁なのだから覚醒剤で得た金庫も持ってかれる場合が殆どだ。
他所の一門の知人が弁明していたを憶えている。

知人:本当は誰だって好きであんなモン撒いてる訳じゃないだろう?
新しい仕事キメても(改正法)ですぐに睨まれるからな。
だから、アイスでも撒かせて(桜田が)待ってましたってな(逮捕)。
今はあれやらないと若いモンも(金銭的に)持たないし、
それで何人も飛んだ奴いるしな。
納めも親父と兄貴だから(改竄)、
要するにアイス撒いてでも納めるモン、納めろ言うんだろう?
お宅はタネがデカかったから良いけど、そうじゃなければ同じだよ。

斉嘉 東政:先にも触れたが、末端は立ち上げ時の種金次第で組織体質まで変わって来る。
それで金庫に余裕が無ければ短絡的に覚醒剤と云う所が多い。
例え親が覚醒剤取引など外道の仕業と一蹴りでも、
若いモンや仕事の無い役付きは納めに苦しんでいるのだ。
其処で親も嫌々ながら黙認する末端も多い。
暴力団対策法と云う物は一見、ヤクザから市民を守る為に有る様に見えるのだろう。
だが、実際は別の狙いが有るのだ。
年々、対策法から逃れる為に看板上げての本抗争が減って来ている。
銃刀法や抗争時の殺人罪は桜田に取ってもデカい手柄に成る。
だが、抗争が無くては桜田もシノギ、、いや、手柄に苦しむ事に成るだろう。
ヤクザが居てこそ組対各課も存続出来るのだ。
私は暴力団対策法を意図的に改正する事で、
ヤクザが無茶な仕事を打たざる負えない状況を桜田が作っていると睨んでいる。
ヤクザの金庫を苦しくして、手柄のデカい覚醒剤を扱う所を意図的に増やす。
全ては安定した手柄を確保する為だろう。
振り込めや架空もそうだが、結果的にヤクザの市民食いを招く事にも成る。
混ぜ物の覚醒剤に因る事故も後を絶たない。
暴力団対策法も正確には“桜田門一家保護法”と言った方が的を得ているだろう。
市民保護法では無く警察保護法だと云う事だ。
私はこの傾向を桜田天下りの某機構役員に聞いたが、
見事に私の睨みを示唆したのだ。

某機構役員:そりゃそうでしょうよ?
暴力団ほど逮捕者が出る団体はないんですから。
組対は“成績”を気にしますからね。

斉嘉 東政:一応、そう云う事らしい。
奴等に取ってヤクザ社会とは世間の害悪では無く、
手柄のユートピアに過ぎないと云う事だ。
だが、“合法的”な企業買収仲介で更に“運用金”を増やしていても、
桜田への挨拶さえ欠かさなければ“合法的”な仕事でも通ってしまう。
常日頃から真面目に“挨拶”しているからだ。
やはり「記憶に御座いません」とは言わせない。
すっトボけるなら何度でも言ってやる。
次はヤクザ社会が何故無くらならいのか?
その事実核心に触れる。
ヤクザ社会は確実にお国から必要視されているのだ。





取材者:某取材者
請負殺人。
手口:請負殺人、脅迫殺人

某取材者:外国映画で殺し屋稼業というのがありますよね。
あんなシノギをしている人って本当にいるんですか?

関東広域組織幹部:専門でやってるって話は聞いた事ないな。
来た事あるよ、内にもな。
大企業にも派閥があるだろ?目の上のタンコブのような奴が。
そんな奴の始末を頼まれた事もあったな。
大抵は断るが、金をタンマリ持ってそうな企業なら話に乗る。
なんせ一生カス(恐喝)れるんだからな。
こっちは証拠を握ってるんだから。
相場は一人、五千万(平均七千万)だ。
場合によっては億を超える事もある。
東京の業界(東京ヤクザ社会)ではそんな物だ。
大事なのはな、荷物を確実に消すという事だ。
俺たち業界の者(東京ヤクザ)はな、日頃から埋めてもいい場所をチェックしてるんだよ。
(東京では、荷物を証拠として残す場合は首都圏近郊の山林、
荷物を完全に消す場合は山梨、長野の中央山脈等に埋める場合が多い“らしい”)
不思議な物でな、穴掘らせるだろ?
何も言わずに掘るんだよな。
言う事を聞けば助けて貰えると思ってるんだろう。
どっちにしろるんだから関係ないからな。
コネがあれば食肉業者に頼んでな、
そのまま豚の(捨て)肉と一緒に(焼却処分して)捨てて貰うんだよ。
ミンチにして混ぜるんだからまず解らない。
組の稼業(組仕事)で食肉会社を経営している奴もいるくらいだからな。
他にも宅地開発の時に産廃と一緒に埋め立てて貰ったこともあったな。
鉄の棺桶に入れてな。
鉄鋼業社の連中に金貸してるだろ?
後は連中に作って貰えばいいんだよ。
お互い理由は聞かないのが鉄則だ。
一番いいのは陶芸家だな。
(ヤクザから)足を洗った業界の者で陶芸家になった奴って多いだろう?
あれは完全に骨までせるからな(炉内で長時間焼く)。
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